難治性喘息(読み)なんちせいぜんそく

日本大百科全書(ニッポニカ) 「難治性喘息」の意味・わかりやすい解説

難治性喘息
なんちせいぜんそく

小児難病の一つとして、1~2年間経過を観察し、通常の治療ではよくならず、副腎(ふくじん)皮質ホルモンを使用しなければならないような重症喘息と定義されている。通常の治療としては、アレルゲン免疫療法(減感作(げんかんさ)療法)、非特異的薬物療法(ヒスタグロビン、インタールなど)、心理療法、鍛錬療法が含まれる。

 難治性喘息の頻度は全小児喘息例中の約3%であり、成人喘息の15.3%に比べると難治化は少ないといえる。病態については、多種類の抗原陽性を示す例が多く、感作されやすい傾向をもっているといえる。さらに、感染は喘息の難治化に関連があるとして注目されているが、その作用機序はともかく、促進方向に働くのは間違いない。また、心因が難治化に作用していることも従来より指摘されているところであり、両親から患者を隔離する入院療法、すなわち両親遮断療法も難治性喘息の有効な治療法の一つといわれている理由でもある。

 治療については、発作をおこしたときの治療と、発作をおこさないようにする根治療法があるが、前者については一般喘息児への対応とほぼ同様である。ただし、難治性喘息児はいったん発作がおこると程度が強く、また薬剤効果が現れにくい傾向があるので注意を要する。前回の発作経験を活用する配慮が望ましい。また、生活指導、とくに鍛錬療法を積極的に採用すること、環境整備に配慮すること、さらに重症の場合は、思いきって施設入院療法も考慮する必要がある。

[山口規容子]

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