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生活指導 せいかつしどうlife guidance

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

生活指導
せいかつしどう
life guidance

子供の行動,態度,思考,感受性など,生き方の全体を指導すること。学習指導と対応し,教授に対して訓育といわれる作用と近似する。学習指導が客観的な文化財を内容とし,これを習得させることを目的とするのに対し,生活指導は子供の現実の生活に即し,これを媒介とし内容として指導が進められる。現在は,伝統的な管理主義的指導に対して,子供の欲求を重視する適応主義的立場に立ち,さらに子供に民主的集団の構成員としての規律を体得させながら,ひとりひとりの人間性の発現と連帯感の強化を目指す集団主義的立場が主流をなし,近年理論と実践に深まりがみられる。

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デジタル大辞泉の解説

せいかつ‐しどう〔セイクワツシダウ〕【生活指導】

児童・生徒の日常生活において、望ましい習慣や意欲的、探求的な生活態度を育てる指導。学習指導に対応した教育分野。

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百科事典マイペディアの解説

生活指導【せいかつしどう】

学校教育において,教材を介した教科学習を指導する学習指導に対し,一人一人の子どもが各々自分の生活現実を知り,それに即して自分の生き方を高めていけるように指導する教育活動。
→関連項目ガイダンス学級ホームルーム

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世界大百科事典 第2版の解説

せいかつしどう【生活指導】

学校教育のなかで,教材を介して子どもの認識や技能を指導する学習指導にたいして,一人一人の子どもの生きかたをその子どもの生活現実に即して指導することをひろく生活指導とよぶ。しかし,生活指導は,徳目主義的指導や管理主義的指導のように,特定の徳目体系や管理体制を子どもに強要して,特定の生きかたをうえつけるものではない。またそれは,適応主義的指導のように,子どもの意識や行動を操作して,所与の集団体制に子どもを順応させようとするものでもない。

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大辞林 第三版の解説

せいかつしどう【生活指導】

児童・生徒が日常生活の基本である習慣や態度を身につけ、生活上の問題を自分で解決できるように指導すること。 → 生徒指導

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

生活指導
せいかつしどう

日本における生活指導ということばは、きわめて多義的に使われている。大きくいって次の三つの考え方がある。(1)学級づくり的生活指導―生活綴方(つづりかた)的方法、(2)集団主義的生活指導―学級集団づくり、(3)生徒指導的生活指導―ガイダンス、などである。しかし、(1)の学級づくりや(2)の学級集団づくりの立場と、(3)のガイダンス的な立場とは、かなり見解を異にしている。(1)の学級づくりや(2)の学級集団づくりの立場を「生活指導」ということばでよび、(3)のガイダンス的な立場の生活指導を「生徒指導」とよぶことが多い。
 本項における生活指導の定義としては、日本の生活指導の研究で第二次世界大戦後、指導的役割を果たした東大教授宮坂哲文(てつふみ)(1918―65)の考え方を取り上げたい。これは、もっとも核心に触れているからである。その定義とは「教師が子供たちと親密な人間関係を結び、1人ひとりの子供の現実にいとなんでいるものの見かた、考えかた、感じかた、ならびにそれらに支えられた行動のしかたを理解し、そのような理解をその子供たち自身ならびにかれら相互のものにすることによって、豊かな人間理解にもとづく集団をきずきあげ、その活動への積極的な参加のなかで1人ひとりの生きかたを(生活認識と生活実践の双方を、つまり両者をきりはなさずに統一的に)より価値の高いものに引き上げていく教師のしごと」とするものである。[西根和雄]

沿革

生活指導の先駆的形態とみなされるのは、明治末期から大正期にかけて創設された私立学校(たとえば東京の成城小学校)の教育方針にみられる「小定員主義」のなかの師弟間の人間的個人的接触、個別指導、個性尊重の理念においてである。日本独自の訓育思想の結晶であった生活指導論は、大正末期より綴方教育の発展のなかから生起した。そして、それは、伝統的な学校教育が肉薄しえなかった子供のありのままの姿に触れることを通して、子供のものの見方、考え方、感じ方、行動様式の再構成を企てる新たな方法概念の登場を意味した。
 生活指導の理論と実践は、その発展によって、第二次世界大戦前を前期と後期とに分け、さらに戦後というふうに、全体として3期に区分できる。前期の生活指導は、子供のものの見方、考え方、感じ方が自由に表現されることを通して、人間形成を図る態度形成に重点を置いていた。それに対して、1929年(昭和4)、1930年以降の後期の生活指導は、生活綴方教育運動の発展と相まって展開されたものである。それゆえ、態度そのものが環境に変革的に働きかける子供の目的的、能動的な生き方のなかで初めて形成されるという点から考えて、前期の生活指導とは区別することができる(大阪教育大学教授木下繁弥(しげみつ)〈1936― 〉)。
 第二次世界大戦後の生活指導は、個人の自主性と民主主義を目標として再出発した。1947年の『学習指導要領』は、学校における生活指導の中軸を「自由研究」に置いた。このような立場から生活指導を考える人たちは、教科の指導はすべて学習指導で、教科外の指導は生活指導であるといい、生活指導を領域概念であると規定する立場をとった。しかし、1958年には、学校教育法施行規則一部改正によって、教育課程の領域は各教科・道徳・特別教育活動・学校行事等の4領域で編成されることになった。そして、教科以外の領域は学習指導の場であると同時に生活指導の場でもあることになり、もはや生活指導を領域概念と規定しがたくなった。この場合には、生活指導の内容としての種々の機能をあげながら機能概念として規定している。[西根和雄]

課題

生活指導の内容と研究の成果は複雑多岐である。しかし、いずれの立場にも民主主義の原理に基づいた人間形成を目ざすことは共通であるから、それぞれの考え方を止揚し統一的な理念と方法とを確立することが急務である。また、近年問題になっている「家庭内暴力」「校内暴力」「いじめ」に対しても単なる対症療法的な生活指導ではなく、まずその実態を正確にとらえることが重要である。「いじめ」の場合、その動機はかならずしもはっきりしているわけではないが、いじめの加害者には他人への思いやりや共感といった情緒面で、欠けるところがある。それゆえ、子供が成長する各段階において、必要な人格の発達課題を着実に達成していけるように、家庭でも学校でも指導し援助することが、現在の生活指導の課題であると考えられる。[西根和雄]
『宮坂哲文著『生活指導と道徳教育』(1959・明治図書出版) ▽日本近代教育史事典編集委員会編『日本近代教育史事典』(1971・平凡社) ▽坂本昇一編『現代のエスプリ172 生活指導』(1981・至文堂) ▽坂本昇一著『生活指導の理論と方法』(1978・文教書院)』

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