生没年不詳。仏陀(釈迦(しゃか))の弟子。サンスクリット名ナンダNandaの音写。祖仏陀の異母弟で、容姿端正であったといわれる。仏陀の生まれ故郷カピラバストゥで、美女スンダリーと新婚生活を送っていたところ、出家を勧められて修行に努めるが、妻との愛欲のきずなを断ちがたく、ために仏陀が種々の方便を用いて教化に努め、ついに彼にいっさいの煩悩(ぼんのう)を断じた阿羅漢果(あらかんか)の階位を得させたという。のちに3世紀のアシュバゴーシャ(馬鳴(めみょう))が、その間のエピソードを交えた物語を、珠玉の詩編『サウンダラナンダ』(端正なる難陀)に美しく伝えている。
[佐藤良純 2016年12月12日]