法華文句(読み)ホッケモング

デジタル大辞泉 「法華文句」の意味・読み・例文・類語

ほっけもんぐ【法華文句】

中国、隋代の仏教書。智顗ちぎ講説し、灌頂かんじょう筆録。20巻。法華三大部の一。法華経経文の各句を注釈したもの。妙法蓮華経文句。文句。

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精選版 日本国語大辞典 「法華文句」の意味・読み・例文・類語

ほっけもんぐ【法華文句】

  1. 中国隋代の仏教書。一〇巻。智顗説、灌頂記。法華経の経文の各句に対する注釈書。因縁釈(一般的解釈)・約教釈(四教に基づく解釈)・本迹釈(本迹二門による解釈)・観心釈(実践的解釈)の四釈を立てることがその特徴天台三大部一つ

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「法華文句」の意味・わかりやすい解説

法華文句
ほっけもんぐ

中国、隋(ずい)代の天台智顗(ちぎ)が講述し、門下の章安灌頂(かんじょう)が筆録再治した仏書。10巻(各上下20巻)。『妙法蓮華経(みょうほうれんげきょう)文句』といい、『文句』または『疏(しょ)』と略称。『法華玄義』が経の精神を総論したのに対し、『法華経(ほけきょう)』の文々句々を解釈したところから称を得た。本書特色は、経の前半を迹門(しゃくもん)、後半を本門と分判し、本迹(ほんじゃく)不二の立場から、両門を序分・正宗分・流通分の三段で解し、各字句ごとに因縁(いんねん)・約教・本迹・観心(かんじん)の4種釈で解明する。吉蔵(きちぞう)の『法華疏』とともに当時までにおける中国の法華経解釈を集大成し、独自の見解を示している。

[塩入良道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「法華文句」の意味・わかりやすい解説

法華文句
ほっけもんぐ
Fa-hua wen-ju

中国,隋の天台大師智 顗が講義したものをその弟子の灌頂が記録した書で,法華三大部の一つ。『妙法蓮華経文句』の略称。さらに略して『文句』ともいう。 10巻。『法華経』の一句一句を注釈している。その注釈の特色を4種 (因縁釈,約教釈,本迹釈,観心釈) に分類し,総称して天台四釈と称する。

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世界大百科事典(旧版)内の法華文句の言及

【法華経】より

…最後の6章は最も新しいが,その中で,観音の信仰を説く〈観世音菩薩普門品〉は《観音経》として独立して尊重される。中国では,天台智顗(ちぎ)が《法華玄義》《法華文句(もんぐ)》の二大注釈書を著し,本経を諸経の中で最高の真理を説いたものとして尊重した。経の前半を〈迹門(しやくもん)〉,後半を〈本門〉と呼ぶことも智顗によって普及した。…

※「法華文句」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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