「はるさめ」の連想から生じた語。「はるさめ」が季節感を表わす語として和歌に多用されたのに対して、「八雲御抄」で禁じているように歌ことばとは考えられなかったらしい。もっとも「秋の雨」も上代や中古ではほとんどみえず、中世になって「続古今集」以降の十三代集にみえる程度であった。「あきさめ」が韻文にみえるのは近世中期の蕪村らの俳諧で、そこでは「秋の雨」と共用されている。
秋霖(しゆうりん)ともいい,平均的には9月10日ごろより10月10日ごろまで長く続けて降る。この雨は起こる年と起こらない年とがある。この時期には梅雨期と同じような気圧配置となり,極気団(オホーツク海高気圧)と亜熱帯気団(太平洋高気圧)との境目の前線(秋雨前線)が日本付近に停滞し,とくに梅雨とは対照的に,日本北部や日本海側ほど顕著に長雨をもたらす。日本をアジア・モンスーン地帯の一部と考えれば,梅雨より秋雨までを一つの雨季と考えることができ,夏季が侵入しているため二分されていると考えることもできる。秋雨の特徴は,台風との相互作用が顕著であり,南方洋上より接近してくる台風が,秋雨前線を刺激して豪雨をもたらす。また北上してきた台風はやがて温帯低気圧となるが,秋雨前線との相互作用で台風なみの温帯低気圧として北日本やカムチャツカ方面に進むことがある。寒帯前線ジェット流と亜熱帯ジェット流が高層には存在し,日本付近の天気に大きな影響をもたらすが,とくに秋雨前線は亜熱帯ジェット流の位置や強さにより,その勢力を増す。
執筆者:内田 英治
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9月上旬から10月なかばごろに降る雨。長雨になりやすく、秋霖(しゅうりん)ともよばれる。残暑と秋の好天の間、季節の変わり目に現れる。夏の日本に卓越する小笠原(おがさわら)気団が衰え、大陸を発現地とする冷気との間に前線をつくって、秋雨をもたらす。この前線を秋雨前線とよぶ。梅雨前線に似て、しばしば東西に伸びるが、梅雨が西日本で顕著であるのに対し、秋雨は東日本で雨量が比較的多い。
[篠原武次]
…実際の天候推移にもとづいて区分した自然季節の秋の期間は場所により異なる。日本の秋は,初秋(8月21日~9月11日),秋雨(9月12日~10月9日),秋(10月10日~11月3日),晩秋(11月4日~11月25日)に細分される。【前島 郁雄】。…
…(c)梅雨(ばいう) 6月上旬から7月上~中旬ごろにかけて降る雨。(d)秋雨(あきさめ) 秋霖(しゆうりん)ともいい,平均的には9月10日ごろから10月10日ごろに降る雨。(4)その他 (a)天泣(てんきゆう) 清雨ともいい,雲が上空に存在しないのに降る雨。…
…このような気圧配置を北高型といい,本州の南岸沖に前線が停滞することがよくある。北高型による長雨は,春は春霖または菜種梅雨といい,秋は秋霖または秋の長雨といい,南岸沖の前線を秋雨前線と呼ぶ。秋雨前線は,夏に大陸方面に北上していた梅雨前線が秋になって大陸が冷え込んできたため南下を始め,本州付近に停滞したものという解釈もできる。…
※「秋雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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