秋雨(読み)アキサメ

デジタル大辞泉 「秋雨」の意味・読み・例文・類語

あき‐さめ【秋雨】

秋に降る雨。しゅうう。 秋》「―や水底の草を踏み渡る/蕪村
[類語]秋雨しゅうう秋霖しゅうりん雨天荒天悪天雨空梅雨空雨降り雨催い雨模様遣らずの雨降雨一雨お湿り慈雨山雨小雨涙雨微雨細雨煙雨霧雨糠雨小糠雨大雨・どか雨・篠突く雨風雨暴風雨豪雨強雨雷雨にわか雨通り雨村雨驟雨夕立白雨スコール照り降り雨日照り雨天気雨狐の嫁入り春雨はるさめ春雨しゅんう卯の花腐し五月雨さみだれ五月雨さつきあめ地雨長雨淫雨霖雨涼雨時雨初時雨村時雨氷雨冷雨雨氷酸性雨

しゅう‐う〔シウ‐〕【秋雨】

秋に降る雨。あきさめ。
[類語]秋雨あきさめ秋霖しゅうりん雨天

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精選版 日本国語大辞典 「秋雨」の意味・読み・例文・類語

あき‐さめ【秋雨】

  1. 〘 名詞 〙 秋に降る長雨。八月末から一〇月初めごろの間に陰鬱な天気が続き、それにつれて降る弱い長雨。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「光忠が、あきさめなどいへるたぐひは、をかしきことなり」(出典:八雲御抄(1242頃)三)

秋雨の語誌

はるさめ」の連想から生じた語。「はるさめ」が季節感を表わす語として和歌に多用されたのに対して、「八雲御抄」で禁じているように歌ことばとは考えられなかったらしい。もっとも「秋の雨」も上代や中古ではほとんどみえず、中世になって「続古今集」以降の十三代集にみえる程度であった。「あきさめ」が韻文にみえるのは近世中期の蕪村らの俳諧で、そこでは「秋の雨」と共用されている。


しゅう‐うシウ‥【秋雨】

  1. 〘 名詞 〙 秋に降る雨。あきさめ。
    1. [初出の実例]「秋雨正滂沛、旬朝灑玉堂」(出典経国集(827)一三・奉試賦秋雨〈山田古嗣〉)
    2. 「秋雨季節が過ぎて、秋霽玉の如き季節は始まった」(出典:思出の記(1900‐01)〈徳富蘆花〉一〇)
    3. [その他の文献]〔礼記‐月令〕

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改訂新版 世界大百科事典 「秋雨」の意味・わかりやすい解説

秋雨 (あきさめ)

秋霖(しゆうりん)ともいい,平均的には9月10日ごろより10月10日ごろまで長く続けて降る。この雨は起こる年と起こらない年とがある。この時期には梅雨期と同じような気圧配置となり,極気団(オホーツク海高気圧)と亜熱帯気団(太平洋高気圧)との境目の前線(秋雨前線)が日本付近に停滞し,とくに梅雨とは対照的に,日本北部や日本海側ほど顕著に長雨をもたらす。日本をアジア・モンスーン地帯の一部と考えれば,梅雨より秋雨までを一つの雨季と考えることができ,夏季が侵入しているため二分されていると考えることもできる。秋雨の特徴は,台風との相互作用が顕著であり,南方洋上より接近してくる台風が,秋雨前線を刺激して豪雨をもたらす。また北上してきた台風はやがて温帯低気圧となるが,秋雨前線との相互作用で台風なみの温帯低気圧として北日本やカムチャツカ方面に進むことがある。寒帯前線ジェット流と亜熱帯ジェット流が高層には存在し,日本付近の天気に大きな影響をもたらすが,とくに秋雨前線は亜熱帯ジェット流の位置や強さにより,その勢力を増す。
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百科事典マイペディア 「秋雨」の意味・わかりやすい解説

秋雨【あきさめ】

秋霖(しゅうりん)とも。霖とは長雨の意味。9〜10月に日本にみられる長雨。気圧配置は梅雨型に似ており,梅雨前線に対応して秋雨前線がある。これは極気団(オホーツク海気団)と亜熱帯気団(太平洋高気圧)との境目に停滞するもので,梅雨現象は揚子江流域や西日本で顕著だが,秋雨現象は北日本,日本海側で顕著。中国にはこの現象はほとんどない。台風との相互作用で豪雨をもたらすことも多い。
→関連項目

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普及版 字通 「秋雨」の読み・字形・画数・意味

【秋雨】しゆう(しう)う

秋の雨。唐・白居易長恨歌〕詩 春風桃李、開くの日 秋雨梧桐、つるの時

字通「秋」の項目を見る

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「秋雨」の意味・わかりやすい解説

秋雨
あきさめ

9月上旬から10月なかばごろに降る雨。長雨になりやすく、秋霖(しゅうりん)ともよばれる。残暑と秋の好天の間、季節の変わり目に現れる。夏の日本に卓越する小笠原(おがさわら)気団が衰え、大陸を発現地とする冷気との間に前線をつくって、秋雨をもたらす。この前線を秋雨前線とよぶ。梅雨前線に似て、しばしば東西に伸びるが、梅雨が西日本で顕著であるのに対し、秋雨は東日本で雨量が比較的多い。

[篠原武次]

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世界大百科事典(旧版)内の秋雨の言及

【秋】より

…実際の天候推移にもとづいて区分した自然季節の秋の期間は場所により異なる。日本の秋は,初秋(8月21日~9月11日),秋雨(9月12日~10月9日),秋(10月10日~11月3日),晩秋(11月4日~11月25日)に細分される。【前島 郁雄】。…

【雨】より

…(c)梅雨(ばいう) 6月上旬から7月上~中旬ごろにかけて降る雨。(d)秋雨(あきさめ) 秋霖(しゆうりん)ともいい,平均的には9月10日ごろから10月10日ごろに降る雨。(4)その他 (a)天泣(てんきゆう) 清雨ともいい,雲が上空に存在しないのに降る雨。…

【日本列島】より

…このような気圧配置を北高型といい,本州の南岸沖に前線が停滞することがよくある。北高型による長雨は,春は春霖または菜種梅雨といい,秋は秋霖または秋の長雨といい,南岸沖の前線を秋雨前線と呼ぶ。秋雨前線は,夏に大陸方面に北上していた梅雨前線が秋になって大陸が冷え込んできたため南下を始め,本州付近に停滞したものという解釈もできる。…

※「秋雨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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