電子オルガン(読み)デンシオルガン

デジタル大辞泉 「電子オルガン」の意味・読み・例文・類語

でんし‐オルガン【電子オルガン】

電子回路による発振音を音源とし、それを増幅してスピーカーから音を出す方式のオルガン

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精選版 日本国語大辞典 「電子オルガン」の意味・読み・例文・類語

でんし‐オルガン【電子オルガン】

  1. 〘 名詞 〙 ( オルガンは[ポルトガル語] orgão ) 電気的な発振回路をつかっていろいろな楽器に似た音がでるようにつくられた鍵盤楽器ハモンドオルガンエレクトーンなど。

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音楽用語ダス 「電子オルガン」の解説

電子オルガン

電子オルガンの原理的な要素が搭載された最初の電子楽器は、1906年にアメリカで制作されたテル・ハーモニアムである。ただしこれは楽器とはいっても、家一軒ほどの大きさで重さ200tという巨大なもので、一般化はされなかった。1920年代になってテレミンオンド・マルトノなど実用化される電子楽器が現れたのと時期を同じくして、最初期の電子オルガンも出始めた。1929年にはアメリカの時計制作者、ローレンス・ハモンドによって初期の代表的な電子オルガンであるハモンド・オルガンが発明され、1935年に市場に出るや急速に普及した。このほかにも1930~40年代に多くの電子オルガンが開発され、教会でパイプ・オルガンの代用に使われるなどした。第2次世界大戦後の40年代半ば以降、電子オルガンは世界的なブームを迎え、各国で大量生産・技術面での競争が行われた。日本の電子オルガンは1958年に日本楽器、日本電気NHKの技術協力によって試作され、これと前後してビクターから商品としては国産第1号の電子オルガンが発表された。翌1959年にヤマハの電子オルガン(エレクトーン)が発売され、教会のパイプ・オルガンの代用というイメージを抜け出したエンターテインメント用の楽器としての電子オルガンが本格的に打ち出されるようになった。現在のところ電子オルガンは、使用される音楽のジャンル、目的や形態によって、パイプ・オルガンの代用としてのチャーチ・モデル、劇場やコンサート・ホールでの使用に耐える高級機種であるシアター・モデル、一般家庭にイージー・プレイの楽器として広く普及している小型のスピネット・オルガン、ジャズコンボ編成で合奏用に用いられるコンボ・オルガンなどに分類されることが多いが、電子オルガン全体の性能が飛躍的にアップした近年では、シアター・モデルとスピネット・オルガンの差が以前よりなくなってきている。電子技術の目覚ましい革新に合わせて、発音方式・操作性など、著しく変化を遂げた電子オルガンであるが、2段(時に3段)の手鍵盤に1段の足鍵盤という基本的な仕様が比較的安定して保たれていることは、機能が多岐にわたるため、ともすればとらえどころのなくなりがちなこの楽器を、奏法の面から特色づける重要な要素になっているともいえる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子オルガン」の意味・わかりやすい解説

電子オルガン
でんしおるがん
electronic organ

元来は、パイプ・オルガンの音色や形態、操作性を模倣してつくられ、スピーカーによって音を出す電子(あるいは電気)鍵盤(けんばん)楽器をさすが、今日では演奏補助装置がくふうされた比較的小型のものが普及している。教会や劇場から一般家庭に至るまで用途はさまざまである。20世紀初めにつくられ始め、電磁誘導式のもの(ハモンド・オルガンHammond organ)や、リードの振動を電気振動にかえるもの(ワーリッツァー・オルガンWurlitzer organ)が初期の代表としてあげられる。

 とくにハモンド・オルガンは、トーン・ホイール(金属製歯車)を電磁ピックアップのそばで回転させて正弦波電流を生じさせ、ドローバー(スライド式スイッチ)によって倍音を組み合わせて音色をつくるという独特な発音方式をとり、製造が中止されたいまなお、ロックやジャズの演奏家に、レスリー・スピーカー(回転式スピーカー)とともに愛用されている。

 その一方で、電子工学技術の急速な発展は、真空管発振に端を発したトランジスタやICによる電子発振方式の発達を促した。1980年代には、従来のアナログ発振器にかわってデジタル音源が主流となり、それに伴ってレジストレーションのメモリーやMIDI(ミディ)機能による他の電子楽器との連動も可能になった。またシンセサイザー回路の導入により、プリセット型のポリフォニック・シンセサイザーとの区別が、いまや不明確になりつつある。

[由比邦子]


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改訂新版 世界大百科事典 「電子オルガン」の意味・わかりやすい解説

電子オルガン (でんしオルガン)
electronic organ

電子回路による発振を楽器の音源とし,種々の音色や音高の音列を多数用意し,パイプ・オルガンと同じような音配合演奏技法を採用している電子楽器。2段鍵盤でペダル鍵盤付のものが最も普及しているが,4~5段鍵盤の大型のものもある。1950年代に各国で造られ出し,日本楽器では59年から〈エレクトーン〉の商品名で発売を始めた。初期のものはパイプ・オルガン的な音や効果を求めていたが,まもなく電子音特有の音色や効果を追求し電子オルガンの個性が強く表出されるようになった。パイプ・オルガン風の持続音だけでなく,ピアノやハープシコード風の減衰音も加えられた。しだいに音配合の記憶回路や自動演奏回路なども加えられ,最近ではシンセサイザーの回路網も加えられるにいたり,最新の電子工学が利用されている。ポピュラー音楽向きの性格をもっているが,ピアノに次ぐ家庭用楽器としても広く用いられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子オルガン」の意味・わかりやすい解説

電子オルガン
でんしオルガン
electronic organ

楽器の一種。電気的発振回路によって多様な音色,音質をつくり,各種の楽器の効果の出るようにつくられたオルガンに似た鍵盤楽器。ハモンド・オルガン,ワーリッツァー・オルガン,コムトン,エレクトーンなど。

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世界大百科事典(旧版)内の電子オルガンの言及

【楽器製造業】より

…両者は総売上高の2割前後を輸出している。主要楽器販売額をみると,ピアノと電子オルガンが圧倒的に多く,それぞれ5割強,3割強を占めている。この主要2品目はヤマハ,河合楽器の寡占下にあり,両社のシェア合計は9割を超え,両社の立地する浜松地区で大半が生産されている。…

【シンセサイザー】より

…音階電圧発生器にはオルガン風の鍵盤が最も普及しているが,ギターのような指板を用いるものやコンピューターにプログラムを入力して用いるものなどもある。従来の電子オルガンと違う点は音の成長・減衰の変化を奏者が自由に制御できる点である。これはVCO,VCF,VCAのそれぞれを時間的に変動する条件で制御できるためで,多様な音の合成が可能となっている。…

【電気楽器】より

…〈テレミン〉(1920),〈オンド・マルトノ〉(1928)が古い。パイプ・オルガンを見本として出発し,現在ではまったく独自の楽器となって急速に普及している電子オルガンの類や,多様な音が自由に合成できるように種々の機能回路を網羅したミュージック・シンセサイザー(シンセサイザー)の類があげられる。(4)自動楽器に応用しているもの。…

※「電子オルガン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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