日本大百科全書(ニッポニカ) 「オンド・マルトノ」の意味・わかりやすい解説
オンド・マルトノ
おんどまるとの
Ondes Martenot
Ondes musicales
フランスのマルトノMaurice Martenot(1898―1980)によって発明された単音の電子鍵盤(けんばん)楽器。周波数80キロヘルツに固定したオシレーターと周波数を変えうるオシレーターによって異なる音がスピーカーから発せられ、それらの自由な組合せでさまざまな音色が生み出せる。周波数のコントロールは鍵盤によって行い、ビブラートやポルタメントもかけられる。音域は5~7オクターブ。オネゲル、イベールなどフランス系の作曲家がこの楽器を用いた作品を多く書いており、なかでもメシアンの『トゥランガリラ交響曲』(1948)はこの楽器を用いた例として有名である。シンセサイザー以前のもっとも傑出した電子楽器の一つといえる。
[川口明子]