電子タバコ(読み)デンシタバコ(その他表記)electronic cigarette

デジタル大辞泉 「電子タバコ」の意味・読み・例文・類語

でんし‐タバコ【電子タバコ】

カートリッジに封入された液体噴霧器で霧状にして吸引する、紙巻きタバコ代用品。→加熱式タバコ

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共同通信ニュース用語解説 「電子タバコ」の解説

電子たばこ

香りや味の成分を添加した溶液を電気式の吸引器加熱し、蒸気を吸うたばこ。フルーツバニラなどさまざまな風味がある。米国の電子たばこは、日本で市販されるニコチンを含まないものとは異なり、主にニコチンを含む溶液を使用する。紙巻きたばこよりも有害物質が少ないと宣伝され、各国で近年急速に普及した。世界保健機関(WHO)は2019年夏、健康上のリスクがあり規制が必要だとする報告書を発表した。(ボストン共同)

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知恵蔵 「電子タバコ」の解説

電子タバコ

電子タバコとは、タバコ型の吸入器によってタバコやミント、フルーツなどの味・香りをつけた水蒸気を吸引するものである。吸入器は、カートリッジに入った液体をバッテリーによって加熱、変霧器という部分で霧状にするしくみになっている。先端に、吸入時に点灯する赤いランプをつけてタバコの火のように見せるものもある。
吸入感覚がタバコに非常に近いと言われ、タバコの代替品、禁煙あるいは減煙用の補助具として近年発達した。日本では07年ごろから流通していると考えられる。吸入する液体はグリセリンプロピレングリコール、各種香料等食品添加物の混合物であるが、外国製品にはニコチンが含まれるものがある。ニコチン含有製品は、日本での販売は薬事法上許可されておらず、国内で販売される電子タバコもニコチンゼロをうたい文句としている。
ところが、08年に世界保健機関(WHO)が電子タバコの安全性に対して疑問を呈する発表を行った。09年にはアメリカ食品医薬品局(FDA)が、ニコチンを含まないと表示のある商品からニコチンが検出されたり、経口摂取すると毒性のあるジエチレングリコールが検出されたりする例があったとする調査結果を公表した。日本の国民生活センターでは、電子タバコの安全性についての問い合わせが増えたことから、10年5月から7月にかけ、カートリッジ内の成分および、販売者の安全性確保についての調査を行った。その結果、調査対象の25銘柄中、ニコチンを含有しない旨の表示のある商品とない商品それぞれ2銘柄、合計4銘柄からニコチンが検出された。また、成分表示にばらつきがあること、カートリッジの成分について飲用時の安全性に関しては調査されているものの、吸入時の安全性は確認されていないなどの問題点も指摘されたことから、同センターは行政に対し、適切な調査および指導、法規制などを求め、これを受けて厚生労働省は消費者への注意喚起を行うとともに、都道府県に向け、販売業者への監視指導を行うよう要請した。また、調査結果を受けて、各販売業者は自主規制も行っている。
ニコチンを含まず煙の出ない製品ではあっても、外見上タバコを吸引しているのと区別がつきにくいことから、社会通念状、禁煙場所での吸引は控えるべきものとの認識も広まりつつある。多くの銘柄で未成年者の吸引を禁じる表示を行っており、またJR北海道では09年4月に全線の列車内および駅施設等の禁煙エリア内での吸引を禁じる告知を行った。
10年10月1日よりタバコが値上げされたことから、電子タバコへの注目はさらに高まりつつある。販売各社は禁煙補助に有効と受け取れるような宣伝を行っているが、反面、タバコ吸引につながるとの見方もあり、安全性その他のより深い調査が待たれるところである。

(椎崎亮子  フリーライター / 2010年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電子タバコ」の意味・わかりやすい解説

電子たばこ
でんしたばこ
electronic cigarette

カートリッジに入った液体を、吸い口のある筒状の装置に入れ、電気的に加熱して発生させた蒸気を吸入する製品。一般的に外形は紙巻きたばこに似せてつくられている。e-cigarette、e-cigと略す。カートリッジの中の液体はイーリキッドやイージュースなどとよばれ、人工香料、アルコールの一種で蒸気の量を増やすためのグリセリン、のどの通りをよくするプロピレングリコールなどが含まれる。火を使わず有害なタールや一酸化炭素、およびたばこの先端から副流煙が発生しないため、たばこの代替品や禁煙の補助用具として使用される。2011年の世界の市場規模は約20億ドルで、アメリカ、ロシア、ドイツで60%を占め、とくにアメリカでの売上げは急増しており、2008年の2000万ドルから2013年には10億ドルになっている(財務省「たばこ・塩を巡る最近の諸情勢」)。日本でも2010年(平成22)の増税によるたばこの値上げ以降注目されている。

 こうしたなか、2014年8月に世界保健機関(WHO)は、電子たばこが未成年者や胎児に深刻な影響を及ぼすおそれがあるとした報告書を公表し、各国に対して未成年者などへの販売を規制するよう勧告した。しかしこれまでフランスやスペインなどの一部の国を除いて、こうした規制を行っている国は少ない。

 日本の場合、たばこ事業法では葉タバコを原料にしたものが製造たばことして定義されているため、電子たばこはこの規制対象にはならない。一方で、薬事法上ではニコチンの国内での製造、販売に厚生労働省の承認を必要としており、電子たばこでその承認を得たものはない。しかし、2010年に国内で流通していた電子たばこの一部からニコチンが検出されたため、厚生労働省は消費者に注意を呼びかけるとともに自治体に対して監視の徹底を指導している。

[編集部]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電子タバコ」の意味・わかりやすい解説

電子たばこ
でんしたばこ
electronic cigarette; e-cigarette

従来のたばこの代替として考案された電子喫煙機器。Eシガレットとも呼ばれる。2003年中国人薬剤師によって考案された。加熱装置を作動させると,ニコチンと,プロピレングリコールや植物由来グリセリンなどの溶剤,香味剤などの化学物質を含む液剤が熱せられ,たばこの煙によく似た霧状の気体に変化する。紙巻きたばこ状のものは「シガライク」と呼ばれ,ほかにも葉巻や水煙管に似たもの,使い捨て式,カートリッジ式,タンク式などがある。機器は完成品の状態でも購入できるが,部品を買って自分で組み立てることもできる。液剤もニコチンの含有量(1mlあたり 0~48mg)をはじめ,プロピレングリコールとグリセリンの割合やフレーバーなどを組み合わせることができる。などの病気を誘発する紙巻きたばこに比べれば害が少ないと考えられるが,液剤にはたばこ由来の発癌物質を含むものもあり,霧状の気体にスズや鉄などの金属やホルムアルデヒドなどの有害物質が含まれることもあるため,電子たばこの健康への害については議論が分かれる。依存を引き起こすニコチンの血中濃度は機器の組み合わせなどにより紙巻きたばこと同程度まで高くなる。2014年アメリカの食品医薬品局 FDAは,電子たばこを含むすべてのたばこ製品を規制の対象とすることを提案した。同 2014年10月に開催された世界保健機関 WHOのたばこ規制枠組条約第6回締約国会議で国際的な対応が検討され,電子たばこの安全性が証明されていないことを考慮し,未成年者に対する宣伝活動および未確認の健康効果の宣伝を禁止する規制策が提案された。

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