喫煙を禁止すること、また、喫煙者がたばこに依存する習慣をたちきること。禁煙対策は個人の健康増進だけでなく、喫煙に伴う疾病の減少によって医療費の削減にもつながる社会経済的課題でもあり、包括的な禁煙環境および社会的条件の整備が求められる。
世界保健機関(WHO)は、喫煙しないことが一般的社会習慣となることを目ざした「たばこか健康かに関する活動計画」に基づき、毎年5月31日を世界禁煙デーとした。日本でもこの日に続く1週間を禁煙週間と定め、厚生労働省の主催で禁煙にかかわるさまざまなイベントが企画されている。また、日本循環器学会、日本呼吸器学会、日本公衆衛生学会など九つの学会が合同で研究班を組織し、たばこによる健康被害の防止と、たばこを吸わない社会習慣の定着のための「禁煙ガイドライン」が策定されている。このガイドラインでは、喫煙が依存症と喫煙関連疾患を合併した「喫煙病」という全身疾患であるという認識に立って、喫煙者を「積極的禁煙治療を必要とする患者」と位置づけている。依存症に対しては、簡易禁煙治療(個別禁煙支援や禁煙教室の開催、セルフヘルプなど)、集中的禁煙治療(時間を長くして回数も増やし、強力に指導する薬物療法や心理社会的または行動療法)を提案し、将来、喫煙者にならない防煙も含めた禁煙環境や社会制度の整備も提案している。また喫煙関連疾患をもつ個々の喫煙者への対応についても具体的に記載している。
医療者のなかには、喫煙が単なるストレス対処行動でなく、依存性の高い精神疾患と考える者もいる。日本でも喫煙を「ニコチン依存症」と位置づけ、禁煙治療を行う禁煙外来を整備する医療施設が増加している。ニコチンパッチ(禁煙パッチ)とよばれる貼(は)り薬や内服薬により喫煙の欲求を抑える治療や、依存症に対するカウンセリングなどが行われている。
[編集部]
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新