電気ブラン(読み)デンキブラン

デジタル大辞泉 「電気ブラン」の意味・読み・例文・類語

でんき‐ブラン【電気ブラン】

ブランデーを主にしたアルコール飲料の商標名。ブランデーをベースに白ワイン・キュラソージンなどを加えたもの。東京浅草神谷バー名物電気文明先端をいくものであったところからの名といい、明治時代から大正時代にかけて流行。昭和32年「デンキブラン」と改称

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精選版 日本国語大辞典 「電気ブラン」の意味・読み・例文・類語

でんき‐ブラン【電気ブラン】

  1. ( ブランは[英語] brandy から ) ( 前々年に東京にはじめて電灯が点灯され、電気を文明の先端を行くものとしてその名を冠したといわれる ) 明治一三年(一八八〇)に売り出されたブランデーふうにつくられた雑酒の商標名。
    1. [初出の実例]「あそこに電気ブランといふのがある。之は三杯以上は飲ませない規定になって居る」(出典:兎糞録(1913)〈和田垣謙三〉一二一)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電気ブラン」の意味・わかりやすい解説

電気ブラン
でんきぶらん

ブランデー風アルコール飲料の商品名。東京・浅草の酒店主、初代神谷伝兵衛(かみやでんべえ)は、1882~86年(明治15~19)ころ、速成ブランデーを製造・販売し、当時大流行したコレラに効くと大いに喧伝(けんでん)された。その後これに改良工夫を加え、文明の最先端を表す「電気」という語を冠称する新商品「電気ブランデイ」を売り出した。伝兵衛は、ほかに甘味ぶどう酒の「ハチブドー酒」(1886年商号登録)も創始している。電気ブランは、浅草の神谷バーの名物として愛飲され、甘く強い酒で、飲みすぎると足をとられ、店ではカップ三杯以上は売らなかったという。1957年(昭和32)「デンキブラン」と改名、製造・販売元の神谷酒店は、その後合同酒精と合併。現在発売中の「デンキブラン」は、83年新規製造され、ブランデーをベースに白ワイン、ベルモット、キュラソー、ジン「その他」を加味した、酒精度40%のカクテルである。

[市村正美]

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世界大百科事典(旧版)内の電気ブランの言及

【焼酎】より

…乙類は本来のものの意味で本格焼酎ともいい,甲類は1899年に神谷伝兵衛がドイツから輸入した連続式蒸留機でアルコールを製造し,これに水を加えてつくったのが初めで,新式焼酎と呼ばれ,近年はホワイトリカーの名で親しまれている。ちなみに神谷伝兵衛は1882年〈蜂印葡萄酒(はちじるしぶどうしゆ)〉を発売,のちに東京浅草に神谷バーを開き,〈電気ブラン〉の名を高からしめた人物である。 本格焼酎は製造法によって,もろみ取焼酎とかす取焼酎とに分けられる。…

【バー】より

…その元祖ともいうべきは,1897年ごろには東京銀座の尾張町西側にあった函館屋で,〈間口三間の店に細長いスタンド,左右の棚には奥までいっぱいの洋酒の瓶,……まず高級のバーであった〉と,山本笑月の《明治世相百話》は書いている。バーを称したのは浅草花川戸(現,浅草1丁目)の神谷バーあたりが古く,この店はのちに〈電気ブラン〉という甘く強い酒をつくって人気を集めた。しかし,バーが普及するのは関東大震災後の大正末期からで,1930年ごろから7~8年間が流行のピークとなり,〈十銭スタンド〉と呼ぶ安価な洋風酒場が各所に続出した。…

※「電気ブラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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