改訂新版 世界大百科事典 「電解酸化」の意味・わかりやすい解説
電解酸化 (でんかいさんか)
electrolytic oxidation
電気分解の際,陽極においては酸化反応が起こる。この陽極の酸化力を直接,間接に応用して行う物質合成を電解酸化という。電解酸化の工業的応用は主として無機物質に対して行われており,塩素酸塩,過塩素酸塩,過マンガン酸塩,ペルオキソ硫酸などが製造されている。塩素酸ナトリウムを例として少し詳しく説明すると,塩素酸ナトリウムは食塩水の無隔膜電解によって得られる。すなわち,陽極で発生した塩素Cl2は水に溶解して塩酸HClと次亜塩素酸HClOになる。陰極からは水素H2が発生し,その周辺に水酸化ナトリウムNaOHができる。HClOがNaOHと出会うと次亜塩素酸ナトリウムNaClOが生成し,次の反応で塩素酸ナトリウムNaClO3となる。
NaClO+2HClO─→NaClO3+2HCl
執筆者:笛木 和雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報