塩素酸ナトリウム(読み)えんそさんなとりうむ(英語表記)sodium chlorate

日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩素酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

塩素酸ナトリウム
えんそさんなとりうむ
sodium chlorate

塩素酸のナトリウム塩。その製法には、塩化ナトリウム飽和溶液の電解による方法と、水酸化ナトリウムの熱溶液に塩素を吹き込んで酸化する方法がある。

 無色結晶で、準安定相として斜方、単斜両晶系のものも存在する。300℃以上で酸素を放って分解する。潮解性で、きわめて水に溶けやすい。酸性溶液中では強い酸化剤となる。爆発性であるから取扱いには注意が必要である。加熱だけではたいして爆発の原因とならないが、有機物のような可燃性物質の混入はその原因となる。重要な工業薬品で、二酸化塩素、亜塩素酸塩、過塩素酸塩の製造原料となる。二酸化塩素はパルプの漂白剤として、亜塩素酸ナトリウムは繊維漂白剤として用いられる。塩素酸ナトリウムはそれ自身でも優れた非選択性除草剤としての用途があり、酸化剤としては染色、電解加工などのほか、ウラン鉱からの酸性浸出にも用いられる。

[鳥居泰男]


塩素酸ナトリウム(データノート)
えんそさんなとりうむでーたのーと

塩素酸ナトリウム
NaClO3
式量106.4
融点248℃
沸点(分解)
比重2.49(測定温度15℃)
結晶系等軸
溶解度79g/100ml(水0℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩素酸ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

塩素酸ナトリウム
えんそさんナトリウム
sodium chlorate

塩素酸ソーダともいう。化学式 NaClO3 。塩化ナトリウムの水溶液の電解または水酸化ナトリウムの熱水溶液に塩素を通じて製造する。無色の結晶。比重 2.49,融点 248℃。約 300℃で酸素を発生し,これより高温では完全に分解する。強い酸化性があり,酸化剤,マッチ花火材料,皮革なめし,除草剤として利用される。

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