電話加入権(読み)デンワカニュウケン

デジタル大辞泉 「電話加入権」の意味・読み・例文・類語

でんわ‐かにゅうけん〔‐カニフケン〕【電話加入権】

NTT日本電信電話株式会社)の固定電話契約者が電話を利用できる権利

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「電話加入権」の意味・わかりやすい解説

電話加入権 (でんわかにゅうけん)

電気通信事業者との契約に基づいて,自己のために設置された電話機を用いて継続的に通話することを当該事業者に対して請求できる権利。一種債権であるが使用料支払等の義務を伴うものであるから,当該事業者の承諾等を得ないで当然に自由に譲渡質入れができるものとはいえない。電気通信業務の自由化を目的として制定された電気通信事業法(1984公布)には,この権利について直接触れる規定はないが,同法の施行に伴い廃止された公衆電気通信法(旧公衆法。1953公布)においては,電話加入権は電電公社承認がないとその譲渡の効力は生じないものとし,また質権の目的とすることはできないものとしていた(38条~38条の3。なお電話加入権の定義につき同法31条3号参照)。ただし電話加入権の有する経済的価値等にかんがみ,〈電話加入権質に関する臨時特例法〉(1958公布)により,例外として当分の間質権の目的とすることが認められていた。

 電気通信事業法および日本電信電話株式会社法(1984公布)の施行に伴い,公社の業務は日本電信電話株式会社に引き継がれたが(同会社法付則4条ほか),旧公社に対する電話加入権で同会社に対するものとして引き継がれたものおよび同会社に対して新たに取得した電話加入権に相当する権利については,当分の間,旧公衆法の廃止にもかかわらず同法38条から38条の3までの規定が適用される。またこれらの規定が適用される間は上記〈電話加入権質に関する臨時特例法〉が適用される(電気通信事業法付則9条および同法施行に伴い改正された〈電話加入権質に関する臨時特例法〉参照)。したがって同会社に対する電話加入権の譲渡質入れに関しては,旧公社時代とその扱いは異ならないことになる。

 なお電話加入権については質権設定の方法とは別に,法定の担保ではない譲渡担保の方法が広く行われているが,これについても事情は同じである。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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