震旦系(読み)しんたんけい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「震旦系」の意味・わかりやすい解説

震旦系
しんたんけい

中国、朝鮮半島に広く分布する最上部先カンブリア界で、主として非変成の珪(けい)岩、頁(けつ)岩、石灰岩からなる地層。変成した上部先カンブリア界の上に傾斜不整合でのり、カンブリア系に不整合で覆われる。震旦系という名称は、最初1877年にドイツのリヒトホーフェンによって、最上部先カンブリア界とカンブリア系、オルドビス系に対して用いられ、その後1907年にアメリカのウィリスBailey Willis(1857―1949)により、カンブリア系、オルドビス系に限って用いられるようになったが、さらに1922年にアメリカのグレーボーによって、最上部先カンブリア界に対してのみ用いられるようになった。震旦系は華南氷河によって運ばれ堆積した氷礫(ひょうれき)岩を含むことが知られている。また震旦系の石灰岩はコレニア(藍藻(らんそう)類)の化石を含むが、上位のカンブリア系が三葉虫などの多くの化石を産出するのに対して、きわめて化石に乏しい。朝鮮半島での震旦系相当層は祥原系(しょうげんけい)とよばれている。

[村田明広]

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改訂新版 世界大百科事典 「震旦系」の意味・わかりやすい解説

震旦系 (しんたんけい)
Sinian system

狭義には中国大陸の後期原生代(8.5億~5.9億年前)の変成していない堆積-火山岩層をさす。1976年ころから,中国の研究者は中期~後期原生代(18億~5.9億年前)を震旦亜代とよび,この時代の堆積-火山岩層と低変成度の変成岩層を震旦亜界とよぶようになった。華北型震旦亜界は秦嶺以北に分布し,4層に区分され,前期原生代と始生代の高度の変成岩層の上を著しい傾斜不整合でおおう。4層のうちいちばん上のものが狭義の震旦系である。海緑石砂岩などをはさみ,藍緑藻・褐藻・紅藻類,後生動物などの化石を含む。華南型震旦亜界は秦嶺以南の華南とタリム盆地チャイダム盆地の周辺に分布し,晋寧造山運動(13億~9.5億年前)で形成された不整合によって,古期岩層と新期岩層に二分される。古期岩層は軽微な変成作用をうけた堆積岩の厚い層を主とする。新期岩層は狭義の華南型震旦系とよばれ,陸成赤色砂岩~ケツ岩,浅海成堆積岩,氷河氷成堆積物,ケイ質岩,炭酸塩岩,蒸発岩類などよりなり,単細胞微植物,褐藻・紅藻類,後生動物,海綿骨片,ヒオリテスなどの化石を含む。日本飛驒変成岩の古期のものは先カンブリア時代のものとされ,震旦紀の造山運動で形成されたものかもしれない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「震旦系」の意味・わかりやすい解説

震旦系
しんたんけい
Zhen-dan system

中国に広く分布する先カンブリア時代後期の地層。ほとんど変成していないケイ岩,ケイ質砂岩を主とし,上部にはケイ質石灰岩があって,コレニア Collenia など石灰藻化石を含むことで著名。古生代前期のカンブリア系に不整合に覆われ,また下位の変成岩を傾斜不整合に覆う。

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