二つの地層が侵食面を挟んで上下に重なる関係を不整合といい、その侵食面を不整合面という。侵食面がない関係が整合である。ただし、河床堆積(たいせき)物内部や乱泥流砂岩層基底の小侵食面のように、上下層の堆積の仕方と比べて侵食期が非常に短いときには不整合とはいわない。不整合面の上と下との地層の走向傾斜が等しいものが平行不整合、異なるものが傾斜不整合である。塊状火成岩体を覆って地層が堆積しているときも、その基底は傾斜不整合あるいは無整合とよばれる。上位層の基底部は、しばしば下位層と岩質を異にし、不整合面において下位層の層理を切って堆積している。それによって不整合面をみいだすことができる。基底層は礫(れき)岩や砂岩からなることが多く、基底礫岩、基底砂岩とよばれる。しかし、泥岩堆積区で海底侵食がおこった場合には、上下層とも無層理の泥岩であって、浮遊性有孔虫などの化石帯欠如によってその存在が初めて明らかになる不整合もある。不整合の侵食面は海底でできることもあるが、普通は陸上侵食でできる。
上下に重なる海成層の中ほどに、陸上での侵食によってできた不整合は、海域が陸域に変わったとき、すなわち海退期にできたものである。海退現象は汎(はん)世界的海面低下、大陸的また地域的地殻変動によっておこる。平行不整合は、地殻変動による海退に起因する場合でも、その区域に地盤の傾きはできなかったことを示す。一方、傾斜不整合は、地塊の傾動または褶曲(しゅうきょく)による地盤の傾きができたことを示す。かつて傾斜不整合は、上下層の傾斜の差がいかに小さくても、短期間の造山運動によって生じたと考えられ、地史のうえでの重要事件とされた。造山運動は地殻が圧縮されておこり、その圧縮によって地層が褶曲すると同時に海域が上昇して陸域となる、すなわち海退がおこると考えられたからである。また、不整合形成期は短期間であるはずであると想像されたからである。しかし、上下層の堆積期全体を通じての継続的な地殻変動期中におこった、大陸的広域の海退に伴ってできた傾斜不整合もあり、侵食期が予想されたよりもはるかに長期であった例もある。また、局所的傾斜不整合が多い。傾斜不整合が地殻変動に対してもつ意味は、それの分布や上下層の層序と時代についての詳細な研究をまって初めて明らかになる。二つの地層の地質構造の形成のされ方に差があるかないかによって、構造的不整合、構造的整合という。平行不整合は普通、構造的整合である。
[木村敏雄]
地層間の関係を表す用語であるが,一つの定義で述べるのは難しい。ここでは次の三つの点から説明する。(1)時間的にみると,不整合は記録のない空白時である。つまり上下に重なりあう地層の間に,堆積の中絶があり,そこに地質学的に認められるなんらかの時間間隙が認められる場合である。(2)堆積作用からみると,不整合はその規模のいかんにかかわらず堆積作用の中断が認められる場合である。(3)構造的にみると,不整合は下位の古い岩体から上位の新しい岩体をわけている平面状の境界面である。この不整合面は,時間・堆積作用の中断を含んでおり,風化,浸食,無堆積などの作用の一つまたはその組合せによりつくられたものである。不整合とは反対に,重なりあう二つの地層間に著しい堆積間隙がなく,時間的にもほぼ連続して堆積している場合は整合conformityという。
不整合の成因には地殻変動,海進・海退,気候変動,海流変動,または生物相や岩相の変化などが含まれており,地層を認識するうえに大変重要な手がかりとなる。一般に,不整合は下位の岩体が陸上にあって,風化・削剝作用を受けた浸食面であるので,多くの場合,不整合上の新しい岩体の基底部には基底レキ岩と呼ばれる陸源の粗粒物質が存在する。これら浸食面や基底レキ岩の存在は,不整合を認識するための重要な証拠となる。陸上浸食,基底レキ岩をもつような大きな不整合の存在は,一連の地層の最下部にあるレキ岩のような粗粒な陸源物質に始まり,砂岩,泥岩,またある場合には石灰岩,チャートのような非陸源物質へと変化する重なり方,つまり堆積輪廻の現象を伴う造山作用とか地殻変動の存在を反映しているとみなすことができる。一方,世界の大陸間に共通な海水面変化を調べると,第一級の大きな海進はカンブリア紀,オルドビス紀と白亜紀にあったという。それ自体は地球の熱的変動の消長であるプレートの動きが,その時期に増大したというのである。
境界面の形態の相違により,不整合を次の四つに区分することがある。(1)傾斜不整合 下位の古い岩体が傾斜し,上位の新しい岩体と斜交して接している場合。著しい例では,上の新しい岩体は水平に接しているのに,下部の古い岩体は褶曲している場合がある。(2)平行不整合 上下の岩体が同じ方向に,同一角度で傾斜し,結果的に平行に重なっているようにみえること。多くの場合は岩相的な変化も少ないが,化石帯の欠如などのはっきりした証拠によって間隙が識別される。(3)部分的不整合 規模の小さい,無堆積間隙を示すものの総称として扱う。層間レキ岩や生痕の存在などによって識別される場合がある。(4)異種岩石間不整合 深成岩や変成岩の上に,多くの場合は基底レキ岩をもって堆積岩が重なっているもの。しかし異種の火成岩が接する場合や,貫入岩,ときに噴出岩と堆積岩が接する関係もこれに含める。
執筆者:加賀美 英雄
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