歌舞伎(かぶき)脚本。世話物。5幕。河竹黙阿弥(もくあみ)作。1880年(明治13)6月、東京・新富座初演。かつて大義のために師を討ち、維新で零落した士族六浦(むつら)正三郎(中村宗十郎)は、妻に死なれ乳飲み子を抱えての貧窮から眼病になり、救ってくれた巡査杉田薫(かおる)(5世尾上(おのえ)菊五郎)を師の息と知って、仇(あだ)を討たれようと迫るが、薫に諭されて剃髪(ていはつ)する。これに演説師楠石斎(くすのきせきさい)(9世市川団十郎)と妻おむら(8世岩井半四郎)、按摩(あんま)の盗賊宗庵(そうあん)(3世中村仲蔵)、悪党讃岐(さぬき)の金助(きんすけ)(初世市川左団次)が絡む散切物(ざんぎりもの)。菊五郎の「巡査の保護」、宗十郎の「士族の乳貰(ちもら)い」、仲蔵の「按摩の白浪」、左団次の「天狗(てんぐ)の生酔」、半四郎の「娼妓(しょうぎ)の貞節」、団十郎の「楠公(なんこう)の奇計」という、6人の名優の兼題によって脚色したようにみせた趣向で、前年の79年11月から『歌舞伎新報』に掲載、好評のため翌年の上演になった。上演に先だつ戯曲版行の始まりとしても意義をもつ。
[松井俊諭]
出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報
…しかし一般に用語がむずかしくて趣向に乏しく,成功しなかった。第2は菊五郎のための散切物すなわち文明開化の新世相・新風俗を描く新世話物で,《東京日(にちにち)新聞》(1873)以下《富士額男女繁山(ふじびたいつくばのしげやま)》(1877),《霜夜鐘十字辻筮(しもよのかねじゆうじのつじうら)》(1879),《島鵆月白浪》(1881)など。作劇術や人間把握などには新鮮味がなく,やがて新派の現代劇にとって代わられるが,新風物以外にも女子の立身や没落士族の貧窮など,社会の変化が浮彫りされている点に意義がある。…
※「霜夜鐘十字辻筮」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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