改訂新版 世界大百科事典 「静電単位系」の意味・わかりやすい解説
静電単位系 (せいでんたんいけい)
electrostatic system of units
単位系の一種。記号esuで表す。電気量qをもつ二つの点電荷が,互いに距離rだけ隔たって存在するとき,両者に作用する力fは,比例定数をkとして,f=kq2/r2で表されるが,いまkは無次元でその値は1に等しいと取り決めれば,q=f1/2・rとなるから,電気量qの単位を(力の単位)1/2・(長さの単位)と定義することができ,それをもとにして電流その他の量の単位をも定めることができる。このようにして定められる単位の集団を静電単位系という。長さ,質量,時間の単位をそれぞれセンチメートル(cm),グラム(g),秒(s)とする場合,力の単位はダイン(dyn)で,電気量の単位はdyn1/2・cm,すなわち,cm3/2・g1/2・s⁻1で,電流の単位はcm3/2・g1/2・s⁻2となるが,これらの単位の集団はCGS静電単位系と呼ばれる。そのほかMKS静電単位系などもある。今日の国際単位系の立場からすれば推奨しがたい。
執筆者:高田 誠二
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報