電磁気の単位系(読み)でんじきのたんいけい(その他表記)system of units in electromagnetism

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電磁気の単位系」の意味・わかりやすい解説

電磁気の単位系
でんじきのたんいけい
system of units in electromagnetism

磁気量に関する単位系。電気的量,磁気的量の単位はそれぞれ電荷の間,磁荷の間に働く力を表わすクーロンの法則により,力の単位を通じて力学量による組立単位として導くことができ,また両種の量の単位関係は電流の磁気作用を表わすビオ=サバールの法則により与えられる。したがって力学量の単位に応じてCGS単位系MKS単位系とに大別される。 CGS 単位系に基づいて,距離 1cm 離れた単位電荷の間に働く力を 1dyn として電荷の単位を決めたのが CGS静電単位系,距離 1cm 離れた単位磁荷の間の力を 1dyn として磁荷の単位を決めたのが CGS電磁単位系である。静電単位系は電気的量を扱うのに便利であるが,磁気的量を扱うには不便である。逆に電磁単位系は磁気的量に便利で,電気的量に不便である。そこで電気的量には静電単位,磁気的量には電磁単位を用い,両単位系の長所を兼ね,電気量と磁気量を対称的に扱ったのが CGSガウス単位系である。これら3つの単位系ではクーロン法則およびビオサバールの法則は簡単な式で表わされるが,電磁気学の基礎法則を表わすマクスウェルの方程式などの重要な式にしばしば因数 4π が現れる。この因数は球対称の場合に全立体角が 4π であるために現れるのであるから,球対称であるクーロンの法則やビオ=サバールの法則に現れても合理的であるが,球対称でないマクスウェル方程式などに現れるのは不合理である。そこで組立単位を定義する単位方程式に適当な数因子を入れ,球対称な物理方程式にだけ 4π が現れるようにした単位系を有理単位系という。これに対し前述の3つの単位系のように球対称でない方程式に 4π が現れるものを非有理単位系という。ガウス単位系を有理化したものにヘビサイド=ローレンツ単位系がある。また,実用単位である電流のアンペア (A) ,電気抵抗のオーム ( Ω ) ,電気量のクーロン (C) などは,これら CGS 単位系では単位の過大な倍数量または過小な分数量となり不便である。 1901年 G.ジョルジは,力学量の MKS単位系に電磁気量の独立基本単位として前述の実用単位の任意の1つを加えるならば,コヒーレントな有理単位系が構成できることを示した。基本単位としてアンペアを選んだのがMKSA単位系であって,電磁気量の計算が容易で実用に便利な単位系である。 MKSA単位系にさらに温度物質量光度の基本単位を独立に加えて構成したのが国際単位系SIであって,ほとんどすべての物理量を包括し,完備した便利な単位系として広く用いられる。

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