家庭医学館 「鞍鼻」の解説
あんび【鞍鼻 Saddle Nose】
鼻すじが落ちこんで、低くなった状態を鞍鼻といいます。鼻すじの上だけが落ちて、鼻の先が上を向くもの、鼻先も潰(つぶ)れて鼻が全体としてめり込むものなど、いろいろな形があります。
[原因]
大部分は、外傷でおこります。顔面をけがしやすいボクサーによく見かけます。以前は梅毒(ばいどく)によるものが知られていましたが、現在では膠原病(こうげんびょう)や免疫(めんえき)の病気などの全身の病気の一部としておこることもあります。
[検査と診断]
外見から診断できます。けがをしたことがなく、鼻中隔(びちゅうかく)も壊(こわ)れて孔(あな)が開いているときは、鼻の組織検査、全身の病気を疑っての内科的な検査も必要です。
鞍鼻の形を知るため、CTも行なって、詳しく調べます。
[治療]
けがから1~2週間以内で、単純な陥没(かんぼつ)ならば、鼻の中から、陥没した部位を起こして固定する手術で治すことができます。
陥没が複雑な場合や、外傷から1か月以上もたってしまうと、全身麻酔(ぜんしんますい)をして、外鼻(がいび)や鼻腔(びくう)を切開し、整復する手術が必要となり、耳鼻科医と形成外科医との共同手術になります。
もしも、膠原病のような全身の病気の一部ならば、内科的な治療が主で、鞍鼻の治療は後回しになります。
鼻にけがをして顔が腫(は)れると、外見からは陥没がわかりません。簡単な陥没なら、早く治療したほうが小さな手術ですみます。早めに受診しましょう。原因が不明のときはしっかりと検査を受けましょう。