飛火野(読み)トブヒノ

精選版 日本国語大辞典 「飛火野」の意味・読み・例文・類語

とぶひ‐の【飛火野】

  1. 奈良市東部、春日山のふもと、春日野の一部。また、春日野の別称。元明天皇のころに烽火台が置かれたところから名づけられた。とびひの。
    1. [初出の実例]「野は嵯峨野さらなり。印南野。交野。駒野。とぶひの」(出典:枕草子(10C終)一六九)

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日本歴史地名大系 「飛火野」の解説

飛火野
とぶひの

春日野のうち春日山の裾野付近とみられ、「和州旧跡幽考」は東大寺の前、北向きたむきの荒神の辺りという。「とびひの」ともいう。「続日本紀」和銅五年(七一二)正月二三日条に「廃河内国高安烽始置高見烽及大倭国春日烽以通平城也」とある。「和名抄」に「度布比辺有警則挙之」とあり、春日烽かすがのとぶひ遠方との連絡のために設けられ、それが地名化したものであろう。

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百科事典マイペディア 「飛火野」の意味・わかりやすい解説

飛火野【とぶひの】

奈良県奈良市街の東,春日大社に接する林野。〈とびひの〉とも。池や沢などもあり,奈良公園名勝)に属する。712年急を告げる烽火(のろし)が置かれた地で,万葉などの古歌によまれ,歌枕としても知られる。

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