駕籠訴(読み)カゴソ

デジタル大辞泉 「駕籠訴」の意味・読み・例文・類語

かご‐そ【×籠訴】

江戸時代越訴おっその一。幕府重職にある人や大名などの駕籠が通行するのを待ち受けて直訴すること。

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精選版 日本国語大辞典 「駕籠訴」の意味・読み・例文・類語

かご‐そ【駕籠訴】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代の越訴(おっそ)一種。幕府、諸藩高官が駕籠で通行するのを待ち受け、これに訴状を投げ入れるか、あるいは竹の先にはさんで差し出すこと。特別な理由あるもの以外は受理されなかった。
    1. [初出の実例]「証文宛所之儀に事寄、彼是申立、駕籠訴いたし候段、不埒に付」(出典:御仕置例類集‐古類集・五・寛政五年(1793)御渡)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「駕籠訴」の意味・わかりやすい解説

駕籠訴
かごそ

江戸時代における越訴(おっそ)の一つ農民町人が自らの要求を携え、将軍や幕閣、あるいは藩主などの行列を待ち受け、これに訴状を差し出すこと。合法的手順を踏んでいないということから、幕府、領主は、これを禁じた。1652年(承応1)下総(しもうさ)佐倉領の名主惣五郎(そうごろう)が、自領主の苛政(かせい)を久世大和守(くぜやまとのかみ)および将軍家綱(いえつな)の駕籠先へ訴えたとの伝承や、1785年(天明5)山城(やましろ)伏見(ふしみ)の町民2名が、伏見奉行(ぶぎょう)の圧政を松平伯耆(ほうき)守に駕籠訴したことなどは著名である。

[水本邦彦]

『横山十四男著『百姓一揆と義民伝承』(教育社歴史新書)』

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百科事典マイペディア 「駕籠訴」の意味・わかりやすい解説

駕籠訴【かごそ】

江戸時代の越訴(おっそ)の一形態。幕府の上級者や大名が駕籠で通りかかるのを待って訴状をささげて訴えるもの。厳罰に処された。
→関連項目郡上一揆

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「駕籠訴」の意味・わかりやすい解説

駕籠訴
かごそ

江戸時代の越訴 (おっそ) の一つ。通常裁判上手続をとらず,幕府の有力者や大名が駕籠で通過する場所に待受けて訴状を出すこと。厳禁されていたので,訴人は罰せられたが,訴願の趣によっては調査が行われた。 (→駆込訴〈かけこみうったえ〉 )

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世界大百科事典(旧版)内の駕籠訴の言及

【越訴】より

…しかし,村役人が村の利益を代表して越訴することは17世紀の百姓一揆の特徴となり,18世紀にはいると惣百姓が直接に集団で越訴する強訴(ごうそ)が増加する。幕府は,1711年(正徳1)に巡見使への出訴,21年(享保6)に目安箱への箱訴を認めて越訴の特例をつくるとともに,徒党強訴をはじめ駕籠訴(かごそ),駈込訴(かけこみそ),捨訴(すてそ),張訴(はりそ)などの順を踏まない直訴行為を厳禁した。【深谷 克己】。…

※「駕籠訴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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