江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。桃山時代から江戸時代初期に中央政治都市として重要な役割を果たした伏見は,廃城後城下町から商業都市へと変わったが,京都を避ける大名行列が通る京街道の重要な宿場でもあったため,幕政上きわめて重視され,大名または大名格のものが奉行として任命された。伏見の民政については,1623年(元和9)に小堀政一(遠州)が登場するまでは不明な点が多い。小堀は伏見に役所を置いたが,伏見だけでなく畿内近国8ヵ国の幕政を担当した。小堀の後任水野忠貞が66年(寛文6)になって,伏見町および伏見周り8ヵ村の支配に専念したのが伏見奉行の成立である。幕政改革によって,96-98年(元禄9-11)および1808-10年(文化5-7)伏見奉行が廃止され,京都町奉行の兼任支配となったりした。与力10騎,同心50人を付属し,とくに地理的関係から川方支配に力を入れた。18世紀後半,奉行小堀政方の暴政による伏見騒動は有名。
執筆者:鎌田 道隆
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江戸幕府の職名。伏見町と町付き幕領の行政・裁判を担当。宇治・伏見・木津川筋の船舶を取り締まり,京都町奉行とともに近江・丹波両国の民政にもたずさわった。京都大火の折などには禁裏警固の任についた。定員1人。幕初からおかれ,1696年(元禄9)一時京都町奉行の兼職となったが,98年再設置。多く大名が任じられた。役料は3000俵。与力10騎,同心50人,牢番1人が付属した。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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