伏見奉行(読み)フシミブギョウ

デジタル大辞泉 「伏見奉行」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐ぶぎょう〔‐ブギヤウ〕【伏見奉行】

江戸幕府職名遠国奉行の一。老中支配に属し、伏見民政管理、宇治・伏見・木津川船舶の取り締まり、また、京都御所警備や西国大名往来監視などを行った。

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精選版 日本国語大辞典 「伏見奉行」の意味・読み・例文・類語

ふしみ‐ぶぎょう‥ブギャウ【伏見奉行】

  1. 〘 名詞 〙 江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。京都伏見にあって、その地の民政を行ない、宇治・伏見・木津川の船を取り締まる。これには大名をあて、従五位に叙した。老中の支配に属し、芙蓉の間詰、役料は三千俵。その配下に、与力・同心・牢番があった。
    1. [初出の実例]「伏見奉行一人」(出典:柳営秘鑑(1743)四・遠国御役人之員数并役高組支配大概(古事類苑・官位七三))

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改訂新版 世界大百科事典 「伏見奉行」の意味・わかりやすい解説

伏見奉行 (ふしみぶぎょう)

江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。桃山時代から江戸時代初期に中央政治都市として重要な役割を果たした伏見は,廃城後城下町から商業都市へと変わったが,京都を避ける大名行列が通る京街道の重要な宿場でもあったため,幕政上きわめて重視され,大名または大名格のものが奉行として任命された。伏見の民政については,1623年(元和9)に小堀政一遠州)が登場するまでは不明な点が多い。小堀は伏見に役所を置いたが,伏見だけでなく畿内近国8ヵ国の幕政を担当した。小堀の後任水野忠貞が66年(寛文6)になって,伏見町および伏見周り8ヵ村の支配に専念したのが伏見奉行の成立である。幕政改革によって,96-98年(元禄9-11)および1808-10年(文化5-7)伏見奉行が廃止され,京都町奉行兼任支配となったりした。与力10騎,同心50人を付属し,とくに地理的関係から川方支配に力を入れた。18世紀後半,奉行小堀政方の暴政による伏見騒動は有名。
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百科事典マイペディア 「伏見奉行」の意味・わかりやすい解説

伏見奉行【ふしみぶぎょう】

江戸幕府の職名で,遠国(おんごく)奉行の一つ。1600年伏見城代松平忠明が,伏見の町奉行を兼任したのが初め。1623年からは近江(おうみ)国奉行の小堀政一(小堀遠州)が兼任。狭義の伏見奉行は1666年就任の水野忠貞が伏見町および町付き8ヵ所支配に専任して成立。老中の下で,定員1名,東海道の宿場として重視され,大名または大名格のものが任命され,宇治・伏見・木津(きづ)川の船舶の取締り,西国大名と家臣の往来の監視などをも任務とした。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「伏見奉行」の意味・わかりやすい解説

伏見奉行
ふしみぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国(おんごく)奉行の一つ。山城(やましろ)国伏見宿(京都市伏見区)と伏見廻(まわ)り八か村を支配した。江戸幕府成立期の畿内(きない)近国支配に重要な役目を果たした小堀政一(こぼりまさかず)(遠州(えんしゅう))が伏見に置いた政庁の流れが、伏見奉行へと連なる。1666年(寛文6)水野忠貞(たださだ)のときに伏見奉行としての職制が整えられ、伏見町などの支配のほか、宇治川、淀(よど)川などの大川支配や参勤交代の西国大名の監視、京都の警備などにあたった。このため遠国奉行としては異例であるが、身分の高い大名格の者が任命された。定員1名。

[鎌田道隆]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「伏見奉行」の意味・わかりやすい解説

伏見奉行
ふしみぶぎょう

江戸幕府の職名。遠国奉行の一つ。慶長5 (1600) 年設置され,伏見の民政や宇治,伏見,木津の諸川の船舶を取締った。京都の二条城とともに,幕府の京洛の根拠地で,多くは譜代大名が任命され,京都御所の警備,西国大名の往来の監視などにもあたった。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「伏見奉行」の解説

伏見奉行
ふしみぶぎょう

江戸幕府の職名。伏見町と町付き幕領の行政・裁判を担当。宇治・伏見・木津川筋の船舶を取り締まり,京都町奉行とともに近江・丹波両国の民政にもたずさわった。京都大火の折などには禁裏警固の任についた。定員1人。幕初からおかれ,1696年(元禄9)一時京都町奉行の兼職となったが,98年再設置。多く大名が任じられた。役料は3000俵。与力10騎,同心50人,牢番1人が付属した。

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