高麗版(読み)コウライバン

デジタル大辞泉 「高麗版」の意味・読み・例文・類語

こうらい‐ばん〔カウライ‐〕【高麗版】

高麗王朝時代に出版された書籍総称仏教関係の典籍が多く現存する。高麗本

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精選版 日本国語大辞典 「高麗版」の意味・読み・例文・類語

こうらい‐ばんカウライ‥【高麗版】

  1. 〘 名詞 〙 朝鮮の高麗時代(九一八‐一三九二)に出版された書籍。特に、一一世紀の初め顕宗ころから、宋の影響もと仏典史書などの開板事業が著しくすすめられた。高麗本。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「高麗版」の意味・わかりやすい解説

高麗版
こうらいばん

広くは朝鮮の、狭くは高麗時代(918~1392)の刊行書をさすが、本稿では後者について述べる。仏教が国教であったため、顕宗~宣宗年間(1011~87)、高宗年間(1236~51)の2回(3回説もある)、大蔵経が刊行された。後者は慶尚南道海印寺に版木(いわゆる八万大蔵経)が現存、前者はわが国に請来されたものがかなり多く、本国には乏しい。現存高麗本には上述の仏書が多く、それ以外のものはまれである。高麗人の崔瀣(さいかい)が撰(せん)した『拙藁千百』(日本尊経閣文庫)は有名である。近年さらに高麗版が発見されつつある。高麗朝では官版刊行のため書籍舗などを置いた。活字印刷はすでに行われ、「詳定礼文跋(ばつ)」(『李相国集後集』巻11)によれば、1230年代ごろにこの書が鋳字(活字)で28部印出されているが、その歴史はさらにさかのぼるであろう。現存本での最古は、フランス国立図書館蔵の1377年清州興徳寺で印出された『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節』巻下1冊。

[藤本幸夫]

『韓国図書館学研究会編『韓国古印刷史』(1980・同朋舎出版)』

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