人情噺(ばなし)。初代春風亭柳枝(りゅうし)(1868没)作。白子屋(しろこや)お熊が夫殺しの罪で大岡越前守(えちぜんのかみ)の裁きを受け、1727年(享保12)に死刑になったという事件を脚色した『白子屋政談』の一節。小悪党の回り髪結の新三が、得意先白子屋の娘お熊と手代忠七の仲を知り、2人を家出させたあとでお熊をさらい、金にしようとする。仲介にきた親分弥太五郎源七(やたごろうげんしち)を辱しめて追い帰した新三も、家主(いえぬし)長兵衛の掛け合いには歯がたたず、お熊を引き渡す。なお、歌舞伎(かぶき)では河竹黙阿弥(もくあみ)が春錦亭柳桜(しゅんきんていりゅうおう)の口演に基づき1873年(明治6)『梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)』の外題(げだい)で劇化。5世尾上(おのえ)菊五郎の新三で初演。大正以降もこれを継承した6世菊五郎の名技によって人気狂言となったため、一般に「髪結新三」の名はこの歌舞伎劇の通称として知られている。
[松井俊諭]
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…河竹黙阿弥作。通称《髪結新三》。別名題《曠小袖往昔(はれこそでむかし)八丈》など。…
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