(読み)チン

デジタル大辞泉 「鴆」の意味・読み・例文・類語

ちん【×鴆】

中国むという、毒をもつ鳥。その羽を浸した酒を飲めば死ぬとされる。また、特にその羽。鴆鳥。
鴆毒」「鴆酒」の略。
范増―を呑みて後、未だ三日を過ぎざるに、血を吐てこそ死にけれ」〈太平記・二八〉

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精選版 日本国語大辞典 「鴆」の意味・読み・例文・類語

ちん【鴆・酖】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 中国南方の山中にすむ毒鳥。嘴は紫黒色で、頸が長く、肉・羽に猛毒を含み、それを浸した酒を飲むと死ぬという。また、特にその羽。鴆鳥。〔塵袋(1264‐88頃)〕 〔国語‐晉語二〕
  3. ちんどく(鴆毒)」また「ちんしゅ(鴆酒)」の略。
    1. [初出の実例]「五穀者腐腑之毒、五辛者損目之鴆」(出典三教指帰(797頃)中)
    2. [その他の文献]〔史記‐呂后本紀〕

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普及版 字通 「鴆」の読み・字形・画数・意味


15画

[字音] チン

[説文解字]

[字形] 形声
声符は(いん)。に沈・枕(ちん)の声がある。〔説文四上に「毒鳥なり」とあり、「一に曰く、日なり」という。蝮(まむし)を食ってその毒を蔵するもので、羽を酒にひたすと激毒を得るとされた。その毒酒(ちん)といい、飲めば即死し、その巣の下数十歩の間は、草も生えないという。その毒を解くには、犀角(さいかく)が有効とされた。

[訓義]
1. ちん、毒鳥。
2. 鴆毒、その毒酒をという。

[古辞書の訓]
名義抄〕鴆 スク・イマタカ 〔字鏡〕鴆 ミサゴ

[熟語]
鴆殺・鴆・鴆酒・鴆毒鴆媒
[下接語]
飲鴆・懐鴆・甘鴆・仰鴆・献鴆・賜鴆・雄鴆

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