犀角(読み)サイカク

デジタル大辞泉 「犀角」の意味・読み・例文・類語

さい‐かく【×犀角】

サイつの漢方で、粉状にして解熱鎮静解毒薬に用いる。黒色白色とがあり、黒色のものを烏犀角うさいかくと称して珍重した。

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精選版 日本国語大辞典 「犀角」の意味・読み・例文・類語

さい‐かく【犀角】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 犀のつの。魔除けなどのまじないや、座敷の飾りに用いられた。
    1. 犀角<b>①</b>〈類聚雑要抄〉
      犀角類聚雑要抄
    2. [初出の実例]「犀角一本重三斤八両小刀五柄」(出典:法隆寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)二月一一日)
    3. [その他の文献]〔後漢書‐西域伝〕
  3. インド犀の鼻づのの先端部を粉にしたもの。解熱や、消毒薬用とした。白色、黒色、白黒混合とがあるが、黒色のものを最上品とし、烏犀角(うさいかく)という。
    1. [初出の実例]「犀角でやっと持参の面(つら)になり」(出典:雑俳・柳多留‐七九(1824))
  4. さいかく(犀角)の帯」の略。〔餝抄(1238頃)〕

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普及版 字通 「犀角」の読み・字形・画数・意味

【犀角】さいかく

犀のつの。角器を作り、また薬とする。〔漢書、南粤王伝〕んで北面し、をして白璧一雙・鳥千・犀角十~孔雀二雙を獻ぜしむ。

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百科事典マイペディア 「犀角」の意味・わかりやすい解説

犀角【さいかく】

(1)サイの角(つの)。著名な漢方薬。烏犀角(黒色),水犀角(白色)がある。クロサイ,インドサイ等の角の薄片粉末などは,かつて解毒・解熱の高貴薬とされた。日本にはインドから中国大陸を経て伝来武家故実の《掛物図鏡》に,〈もろもろの毒を消すものゆえ(犀角の掛物を)座敷の飾に用うるなり…〉とある。現在はワシントン条約収載の動物として採取されていない。(2)→スタペリア

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「犀角」の意味・わかりやすい解説

犀角
さいかく

サイ科動物の角(つの)を用いた漢薬で、古代中国の『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』では中品に収載されている。漢方では、これを粉末あるいは薄片に削り、解熱、解毒などの薬効で使用する。利用される角はインドサイRhinoceros unicornisのものが良品とされ、烏犀角(うさいかく)と称されるが、現在では生息数が少なく、動物保護の点からも希品である。またクロサイDiceros bicornisのものは水犀角(すいさいかく)とよばれ、烏犀角に比して質がやや密で、劣品とされる。角は毛束(もうそく)が変化したものであるが、その有効成分は未詳。民間では麻疹(ましん)(はしか)の特効薬として煎(せん)用される。

[難波恒雄・御影雅幸]

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