鴨川市(読み)カモガワシ

デジタル大辞泉 「鴨川市」の意味・読み・例文・類語

かもがわ‐し〔かもがは‐〕【鴨川市】

鴨川

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日本歴史地名大系 「鴨川市」の解説

鴨川市
かもがわし

面積:一四七・二九平方キロ

県の南東部に位置し、東は安房郡天津小湊あまつこみなと町、北は君津市・富津市、西は安房郡鋸南きよなん町・富山とみやま町・丸山まるやま町・和田わだ町、南は太平洋に面する。市域の北部を房総丘陵清澄きよすみ山系、中央部を嶺岡みねおか山系が走り、両山系の間を東流する加茂かも川と待崎まつさき川の流域に長狭ながさ平野が形成され当市域の中心をなしている。地質は平野部は第四紀沖積世の堆積層で、山間部は主として新生代新第三紀であるが、県下最高峰の嶺岡愛宕あたご(四〇八メートル)がある嶺岡山系は、新生代の古第三紀系の嶺岡層群がみられ、県下でも最古の地層と考えられている。東端では山地が海岸に迫り、鴨川松島とよばれる景勝の地で、八岡ようか海岸には県指定天然記念物の枕状溶岩がある。南側の曾呂そろ川流域は日本有数の地滑り地帯である。河川はほかに南部の江見えみ地区を流れる洲貝すがい川がある。おもな道路は太平洋岸沿いを通る国道一二八号、長狭地区を南北に貫通する国道四一〇号があり、県道に千葉―鴨川線・鴨川有料道路、長狭街道と通称される鴨川―保田ほた線などがある。国道一二八号に沿うようにJR外房線・内房線が通り、安房鴨川駅は両線の終着駅で、ほかに内房線の太海ふとみ駅と江見駅がある。市域の大部分は古代から近世まで長狭郡に属し、南部の江見地区の一部が古代には朝夷あさい(朝平)郡、中世にはまる郡、近世から明治初期には朝夷郡に属していた。

〔原始・古代〕

市域には寺門仲屋敷てらかどなかやしき遺跡・打墨津辺うつつみつべ遺跡・貝渚前荒谷かいすかまえあらや遺跡・岡波太香指神社おかなぶとかざしじんじや遺跡・江見地区庚申塚こうしんづか遺跡など各地区に縄文時代の遺跡がみられるが、弥生時代の遺跡は嶺岡東上牧みねおかひがしかみまき嶺岡旧キャンプ場みねおかきゆうきやんぷじよう遺跡など少ない。広場ひろばに円墳六基、田原たばら西条さいじよう地区にも円墳があったが、現在はほとんど消滅している。広場一号墳からは舟形石棺が出土している。横穴古墳は古畑大山こばたおおやま横穴群・岡波太横穴群などがある。主基すき地区の嶺岡東上牧の祭祀遺跡からは土製の七鈴鏡が出土している。「古事記」の神武天皇段に神八井耳命は長狭国造等の祖と記されており、「国造本紀」には長狭国造の記述はないが、古代から開発が進み有力な支配者がいたと想定される。また東条とうじよう地区には条里跡もあった。「万葉集」巻二〇に「たちこもの発ちの騒きにあひ見てし妹が心は忘れ為ぬかも」と詠んだ長狭郡上丁丈部与呂麻呂は「和名抄」の長狭郡に記載される丈部はせつかべ郷に関係した者と考えられる。江見地区は朝夷郡御原みはら(同書)に属していたと思われる。

〔中世〕

治承四年(一一八〇)石橋山の合戦に敗れた源頼朝は、海路安房国へ逃れてきた。

鴨川市
かもがわし

2005年2月11日:鴨川市と安房郡天津小湊町が合併
【天津小湊町】千葉県:安房郡
【鴨川市】千葉県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「鴨川市」の意味・わかりやすい解説

鴨川〔市〕
かもがわ

千葉県南部,太平洋に面する市。 1971年鴨川町,江見 (えみ) 町,長狭 (ながさ) 町の3町が合体して市制。 2005年天津小湊町と合体。中心市街地の前原地区は県南の商業中心地。 JR内房線と外房線の結節点にあり,この全通により観光保養地的性格を強めた。海岸通りには観光用の旅館,ホテル,遊園地などがある。中央部を東流する加茂川の沿岸は肥沃な沖積低地で,米・麦作のほかビニルハウスによる野菜促成栽培が行なわれ,花卉栽培や酪農も盛ん。近海漁業の基地で,サバ,サンマの水揚げが多い。海岸地域には太海 (ふとみ) フラワーセンターや仁右衛門島,鴨川松島,鴨川シーワールドなどの観光地,レジャー施設があり,海水浴場にも好適。南東部にある鯛ノ浦タイ生息地は国の特別天然記念物。南房総国定公園に属し,その観光拠点。南西部の嶺岡浅間を中心とする一帯は嶺岡山系県立自然公園に,清澄山を中心とする北東部一帯は養老渓谷奥清澄県立自然公園に属する。国道 128号線が通る。面積 191.14km2。人口 3万2116(2020)。

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