房総丘陵(読み)ボウソウキュウリョウ

デジタル大辞泉 「房総丘陵」の意味・読み・例文・類語

ぼうそう‐きゅうりょう〔バウソウキウリヨウ〕【房総丘陵】

千葉県房総半島の中南部に広がる低山性の丘陵。西は富津市南部から東は九十九里平野大網白里市を結ぶ線以南をいう。地形は険しいが、最高峰愛宕あたご(408メートル)で、ほか清澄きよすみ(377メートル)・鹿野かのう(379メートル)・のこぎり(329メートル)などいずれも標高は高くない。

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改訂新版 世界大百科事典 「房総丘陵」の意味・わかりやすい解説

房総丘陵 (ぼうそうきゅうりょう)

千葉県南部,房総半島南半を占める丘陵。三浦半島に連続した地質構造をもち,東西に走る断層による数列の地塁山地からなり,加茂川沿いの長狭(ながさ)平野や館山平野などの地溝によって分断される。大きくは,安房と上総の境をなす主分水界の鋸(のこぎり)山(330m),清澄山(383m)の山塊から北に傾動する北部の上総丘陵と,県内最高峰の愛宕山(408m)を含む南部の安房丘陵とに分けられる。いずれも300~400mの低山であるが,壮年期の山容を示し,北部の鹿野(かのう)山南東の浸食谷の九十九谷や太平洋岸の断層崖おせんころがしの景観は雄大である。海岸は地塁の延長が岬,地溝の延長は入江となり屈曲に富む。丘陵地域は年降水量1800~2200mm。多雨地で暖帯性植生が繁茂し,太平洋に注ぐ加茂川,夷隅(いすみ)川,東京湾に注ぐ養老川,小櫃(おびつ)川,小糸川,湊川などの水源地となっている。近年ダム建設による水源開発が盛んで,臨海工業地帯や土地改良の用水に供給し〈房総の水がめ〉となり,さらに小糸川上流の三島湖などダム湖を中心とした新しい観光地もみられる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「房総丘陵」の意味・わかりやすい解説

房総丘陵
ぼうそうきゅうりょう

千葉県、房総半島の南部を占める丘陵。富津岬(ふっつみさき)南部の磯根岬(いそねざき)付近から九十九里平野の大網白里(おおあみしらさと)市付近を結ぶ線以南の地域に展開する。標高は約300~400メートルで、最高峰は愛宕山(あたごやま)の408メートル。地質はおもに第三紀の三浦層群、第四紀の上総(かずさ)層群からなるが、地殻変動を受けて複雑に入り組んでいる。鋸山(のこぎりやま)から加茂(かも)川の地溝帯を通り鴨川(かもがわ)市のおせんころがしの海食崖(がい)に至る線によって、北部の上総丘陵と南部の安房丘陵(あわきゅうりょう)に二分される。上総丘陵を南北方向に並行して養老川、小櫃(おびつ)川、小糸川が蛇行して流れ、谷底平野を形成する。鋸山、鹿野山(かのうざん)、高宕(たかご)山、清澄(きよすみ)山など幼年期から早・壮年期の険しい山々が連なり、九十九谷や養老渓谷の景勝地が県立自然公園になっている。清澄山から養老渓谷にかけてはカシ類混交林が優先し、そのほかの地域は広くコナラ、クリ、常緑広葉樹林と山武(さんぶ)スギの人工林が展開する。かつての薪炭生産地は近年県営房総スカイライン、鴨川有料道路が通じ、鹿野山マザー牧場、清和県民の森、三島湖や高宕山自然公園などが開かれ、また養老川流域では多くのゴルフ場が開発され、レクリエーション地へと変貌(へんぼう)しつつある。安房丘陵北の嶺岡(みねおか)山地では蛇紋岩が風化した地すべり地帯がみられ、付近一帯は安房酪農の中心地をなし生乳生産が盛んである。館山(たてやま)平野南部の丘陵はシイ、タブの暖帯林が茂り、県営館山野鳥の森がある。

[山村順次]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「房総丘陵」の意味・わかりやすい解説

房総丘陵
ぼうそうきゅうりょう

千葉県,房総半島南部の低山性の丘陵。最高点は愛宕山 (408m) 。東京湾岸の富津市上総湊と九十九里平野の茂原付近を結ぶ線以南の地域に広がる。断層により寸断され,寄木細工のような地質構造を示す。地殻変動を受けて隆起した部分は,愛宕山,鹿野山 (379m) ,清澄山 (377m) ,嶺岡,経塚,白浜などの地塁を形成,沈降した部分は館山平野や加茂川河谷などの地溝帯をなしている。養老川小櫃川小糸川など北流する河川は著しい曲流を示し,丘陵中に養老渓谷を形成。森林が豊富で県内の主要林業地域を形成。谷間の集落では米作のほか乳牛を飼育する。

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