…89年硯友社(けんゆうしや)同人に加わり,文筆活動に入る。90年《東京中新聞》に入社して通俗な小説の濫作を強いられる中で,佳作も残し,《変目伝(へめでん)》《黒蜥蜴(くろとかげ)》(ともに1895)等の心身障害者の暗い情念と行動を描いた作品は,深刻小説(悲惨小説)と呼ばれて文壇に一期を画した。その後も《今戸心中》(1896)や《雨》(1902)など,小市民や細民の生活の破滅を描く佳作によって明治30年代の小説界に活躍したが,その後はほとんど筆をとらず引退した。…
※「黒蜥蜴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」