鼠の嫁入り(読み)ネズミノヨメイリ

デジタル大辞泉 「鼠の嫁入り」の意味・読み・例文・類語

ねずみ‐の‐よめいり【×鼠の嫁入り】

昔話の一。ネズミ夫婦秘蔵の娘に天下一の婿をとろうとして、太陽・雲・風・築地と、次々に申し込むが、結局は同じ仲間のネズミを選ぶという話。ねずみ婿取り

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精選版 日本国語大辞典 「鼠の嫁入り」の意味・読み・例文・類語

ねずみ【鼠】 の 嫁入(よめい・よめ)

  1. 鼠の夫婦がその娘に天下一の婿をとろうとして、太陽がこの世で一番だと思い申し出ると、太陽は、雲に出あうと照らせないから雲がいいという。雲に申し出ると、風に吹かれるから風がよいという。だが風は築地にあえば無力だという。そこで築地に頼むと鼠に穴を掘られてかなわないといったので、結局同じ仲間の鼠を選んだという昔話。「沙石集」などにみられる。のちに、あれこれと選んでみても結局変わりばえのしない所に落ち着くというたとえとなった。鼠の婿取り。
    1. [初出の実例]「いにしへはねずみの婚(ヨメ)いりとて、果報の者と世にいはれ」(出典仮名草子薬師通夜物語(福斎物語)(1643頃))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鼠の嫁入り」の意味・わかりやすい解説

鼠の嫁入り
ねずみのよめいり

ネズミが天下一の婿を求めて捜し歩くが、最後は同じ仲間のネズミと結ばれるという話。ネズミの夫婦が偉い婿をとろうと考えて、太陽のところに行く。太陽は雲に遮られると光が届かないので雲のほうが偉いと教える。そこで雲に相談すると、雲は風には吹き飛ばされてしまうので風のほうが偉いという。次に風に頼むと、いくら吹いても遮る壁にはかなわないという。そこで壁を訪ねると、壁をかじって穴をあけてしまうネズミがいちばん偉いというので、結局は同じ仲間のネズミから婿をとる。主人公にはネズミのほかに、モグラ石屋の登場する例がある。モグラの場合には風の次に土手を訪ね、土手に穴をあけるモグラのほうが偉いという結果に戻る。全国的な伝承が確認できるが、内容の変化は少ない。古代インドの寓話(ぐうわ)集『パンチャタントラ』までさかのぼることができ、朝鮮半島にも分布している。わが国では古く鎌倉時代の仏教説話集『沙石集(しゃせきしゅう)』にみえる。

野村純一

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ことわざを知る辞典 「鼠の嫁入り」の解説

鼠の嫁入り

あれこれと選んでみても、結局変わりばえのしないところに落ち着くというたとえ。

[解説] ネズミの夫婦がその娘に天下一の婿をとろうとして、まず太陽に申し出た。すると太陽は雲に出合うと照らせないから雲がいいという。そこで雲に申し出ると、雲は風に吹きとばされるから風がよいという。だが風は築地に会えば無力だという。そこで築地に頼むと、ネズミに穴を掘られてかなわないといったので、結局ネズミが一番だと知って、同じ仲間のネズミを選んだという昔話。「沙石集」などにみられます。

〔異形〕鼠の婿取り

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世界大百科事典(旧版)内の鼠の嫁入りの言及

【ネズミ(鼠)】より

…食物はともかく,衣服・調度をかじられては困るので,これに対処するため,除夜には空室内に食物を用意してネズミに提供し,それでネズミの害を免れるという風習があった。また俗説によれば,除夜はネズミが嫁入りをする晩であるとして,まんじゅうの上に造花をさして空室や寝台の下などに置き,消灯して早寝をし,子どもたちには〈老鼠做親〉(ネズミの嫁入り)を見るのだといってだます。その婚礼の行列のさまを描いた年画(新年用版画)も行われた。…

※「鼠の嫁入り」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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