石屋(読み)イシヤ

デジタル大辞泉 「石屋」の意味・読み・例文・類語

いし‐や【石屋】

石を切り出したり細工したりする職人石工いしく石切り石大工
石材売買職業とする人。
[類語]石工

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精選版 日本国語大辞典 「石屋」の意味・読み・例文・類語

いわ‐やいは‥【石屋・岩屋・磐屋】

  1. 〘 名詞 〙 岩の間にできた天然のほら穴。また、それを利用した住居。いわむろ。
    1. [初出の実例]「乃ち、天石窟(イハヤ)に入(い)りまして、磐戸(いはと)を閉(さ)して幽居(こも)りましぬ」(出典日本書紀(720)神代上(水戸本訓))

いし‐や【石屋】

  1. 〘 名詞 〙 石を山から切り出す職人。また、その石を加工し、販売する人。または、店。
    1. [初出の実例]「嘉例にて石屋の雑煮五りん餠」(出典:雑俳・奈良土産(1694))

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「石屋」の意味・わかりやすい解説

石屋
いしや

石材の採掘や加工をする職人と、石材を販売する商人とをさしているが、普通には石材販売を主とする商人の石材店のことをいい、そこに加工生産する何人かの職人の石工(いしく)が雇われていた。石材の採掘と加工と販売とはしだいに分化してきた。石材の採掘、加工の技術者は古代では石作(いしつくり)という工人であった。独立した職人となったのは13世紀の中世からで、石切(いしきり)といっていた。17世紀の近世からは石工というようになった。建築や造園の材料や石臼(いしうす)、石塔などの生活用具というように石の需要は高まった。ことに16世紀からは築城そのほかの大規模な土木工事が始められて、需要はさらに増してきた。石山石切場で石材を切り出し、近くの細工場あるいは遠くの仕事場へ運んで加工した。18世紀からは運送手段の発達によって都市にも石材加工、販売の石屋が生まれ、遠くから石材を取り寄せて、その仕事場で加工した。こうして原石の切り出しを主とする石切と、石材加工を主とする石工とに区別され、硯(すずり)をつくる硯切(硯師)や砥石(といし)をつくる砥屋(とや)、庭石や手水鉢(ちょうずばち)をつくる庭石屋とに分化した。道具は、石材の硬度にもよるが、金槌(かなづち)、小さい石切のみ、柄(え)のついた大きい石切のみ、石を割るたがね、大きい金槌の玄能(13世紀からの新しい道具)とがあった。石材店は軟らかい大谷石(おおやいし)系と硬い御影石(みかげいし)系とに分かれてきた。零細な加工生産の叩(たた)き石屋のほかに、産地を抱えた問屋、庭石、墓石、造園、張物(はりもの)などの専門店ができてきた。

[遠藤元男]


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改訂新版 世界大百科事典 「石屋」の意味・わかりやすい解説

石屋 (いしや)

石材ならびにその加工品を販売する商人とその店の称。石工(いしく)をこの名で呼ぶこともある。近世中期以後,石材の販売,加工を業とする石屋が都市に出現した。それまでは山腹の石切場から切り出した石を麓の細工場で加工するのがふつうであったが,原石採取地から遠く離れた都市にこうした石屋が成立したのは,運送手段の発達と同時に,都市における消費生活の向上,拡大によるところが大きい。石屋は石材の硬軟によってわかれ,産地と直結した問屋,石材の種別による専門の店,それに零細なたたき石屋があった。
石工
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百科事典マイペディア 「石屋」の意味・わかりやすい解説

石屋【いしや】

石材の加工,販売をする人,あるいはその店。土木建築の土台作りや石垣作りの石工(いしく),石像・石塔・鳥居などを作る彫刻工,石臼(いしうす)作り,丁場で採石する山石屋などがある。近世,城郭建築の盛行に伴って各地から石工が城下町に集まり,諸大名もこれを保護し,また石材産地の開発も進んだ。都市生活の発展に伴って石灯籠や石塔の需要のほうが高まり,石屋の仕事は石細工が主となっていった。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「石屋」の解説

石屋 せきおく

?-? 平安時代後期の僧。
肺結核の治療を得意とした。永万元年(1165)二条天皇が病気のとき,灸(きゅう)治療をおこなったとつたえられる。

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普及版 字通 「石屋」の読み・字形・画数・意味

【石屋】せきおく

石造の家。

字通「石」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の石屋の言及

【石工】より

…石の切出し(採石),石の加工,石垣の造営などをする職人。〈せっく〉〈せっこう〉ともいい,また石作(いしつくり),石屋,石大工,石切,石方ともいう。古墳石室や神籠石(こうごいし)の精巧な仕上げは専門の工人の存在を推測させることから,古墳時代には存在したと思われる。…

【職業神】より

…この弘法大師がまた聖徳太子と混同して語り伝えられ炭焼きも太子様を信仰した。 関西以西では木樵,木挽,炭焼きのほかに大工,左官,石屋,桶屋などの職人ももっぱら太子様を信仰し,太子講を組んでまつりをした。これは農村の大師講すなわちダイシコウと区別してタイシコウと呼ばれ,祭日も大師講とちがっているのが普通である。…

【出稼ぎ】より

…石川県白山山麓の山村では,嫁入前の娘たちが京都や大阪へ女中奉公や子守りとして数年間出稼ぎし,ここで結婚のための仕度金をつくり,行儀を見習う習慣があり,これをしないと一人前の娘とみなされなかった。 出稼ぎ職人として有名なのは,会津,筑波,信州などの屋根葺き職人や杜氏,鍛冶屋,石屋,大工などである。杜氏は酒の醸造にたずさわる職人で,雪国や山国の冬期間の出稼ぎ者が多かった。…

※「石屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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