セント・ピータースブルグ宣言(読み)せんとぴーたーすぶるぐせんげん(英語表記)Declaration of St. Petersburg

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

セント・ピータースブルグ宣言
せんとぴーたーすぶるぐせんげん
Declaration of St. Petersburg

1868年ロシア皇帝の招請により当時ロシアの首都であったペテルブルグ(英語名セント・ピータースバーグ。現サンクト・ペテルブルグ)で開催され、17か国の参加した国際会議において採択されたもの。この宣言は、近代国際社会における特定兵器使用禁止に関する最初の条約である。その本文は、締約国が相互の戦争において「量目四百グラム以下ニシテ爆発性又ハ燃焼性ノ物質ヲ充(あ)テタル発射物」すなわち爆発性弾丸の使用放棄を約束することを定めた。なお、この宣言の有名な前文には、「既(すで)ニ戦闘外ニ置カレタル人ノ苦痛ヲ無益ニ増大シ又ハ其(そ)ノ落命ヲ必然ニスル兵器」の使用は、敵兵力を弱めるという戦争の唯一の目的を超え人道に反する、と述べられている。この文言は今日まで、ある兵器の使用の合法性を計る基準を提供している。

[藤田久一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

セントピータースブルグ宣言
セントピータースブルグせんげん
Declaration of St. Petersburg

1868年,ロシア政府の提案により首府ペテルブルグの国際会議で採択された 400g以下の爆発性または燃焼性の物質を満たした発射物 (弾丸) の使用を禁止する宣言。 17ヵ国が署名した。この宣言は,その後のダムダム弾毒ガスなど,不必要な苦痛を与える害敵手段の禁止規則の起源として知られる。 (→ハーグ平和会議 )

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