事欠く(読み)コトカク

デジタル大辞泉 「事欠く」の意味・読み・例文・類語

こと‐か・く【事欠く】

[動カ五(四)]
物が不足する。なくて不自由する。「食べる物にも―・く始末
(「…にことかく」の形で用いて)他に適当なことがあるのに、よりによってわざわざそんなことをする。「言うに―・いて家族悪口までしゃべるとは」→事を欠く
[動カ下二]1に同じ。
遁世者は、なきに―・けぬやうを計らひて過ぐる、最上のやうにてあるなり」〈徒然・九八〉
[類語]不便不自由不如意不随ままならぬ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「事欠く」の意味・読み・例文・類語

こと‐か・く【事欠】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 カ行五(四) 〙 ( 多く「…にことかく」の形で用いる )
    1. 物事が不足する。ないために不自由する。事を欠く。
      1. [初出の実例]「大臣行幸可供奉事也、近代不然、任意也、強不事闕事、又供奉無難事也」(出典玉葉和歌集‐仁安三年(1168)三月一一日)
      2. 「先生の子供のころは貧窮のどん底で〈略〉三度の食事にもこと欠くありさまで」(出典:婉という女(1960)〈大原富枝〉)
    2. こと(事)を欠く
      1. [初出の実例]「遠っ走りするにもこと欠いて、奄美大島とは驚きましたな」(出典:ボロ家の春秋(1954)〈梅崎春生〉)
  2. [ 2 ] 〘 自動詞 カ行下二段活用 〙 [ 一 ]に同じ。
    1. [初出の実例]「一向国王世を一人して輔佐なくて事かけざるべし」(出典:愚管抄(1220)三)

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