DCAT(読み)ディーキャット

デジタル大辞泉 「DCAT」の意味・読み・例文・類語

ディー‐キャット【DCAT】[Disaster Care Assistance Team]

Disaster Care Assistance Team》⇒災害派遣福祉チーム

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「DCAT」の意味・わかりやすい解説

DCAT
でぃーきゃっと

大規模災害や大規模事故時に、被災地や事故現場へ派遣される福祉専門要員のチーム。Disaster Care Assistance Teamの略称で、正式名称は災害派遣福祉チーム。チームは社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、ホームヘルパー、看護師、保育士ら4~6人程度で構成される。避難所などを巡回しながら、専門知識を生かして高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児ら社会的弱者の相談にのり、福祉避難所への移送、入浴介助、福祉用具の選定、心のケア、高齢者の運動指導などの支援にあたる。また、行政機関や医療機関と連携し、避難所などの環境改善を提言する。派遣期間は原則災害・事故発生初期であるが、状況に応じて数か月単位の延長も想定されている。東日本大震災では、長引く避難生活での過労、持病悪化、ストレスなどが原因で死亡する震災関連死が高齢者を中心に2015年(平成27)9月時点で3400人を超えた。政府は改正災害対策基本法(第86条の6、7)に避難者の生活環境の確保を定め、2012年(平成24)には厚生労働省都道府県単位での支援体制づくりを求めた。DCATは2016年6月時点で全国の10道府県に設立されたほか、医療法人や病院などの民間組織が設けている。2016年の熊本地震の際には、初めて正式に都道府県によるDCATが派遣された。

 なお類似組織に、災害発生初期に被災地などに入るDMAT(Disaster Medical Assistance Team:災害派遣医療チーム)があり、DCATはこの福祉版にあたる。ただDMATと異なり、DCATには明確な法的根拠がなく、派遣職員の宿泊費をどのように確保するかという問題や、メンバーの緊急招集をどのように実現するかといった課題がある。このため災害救助法に基づく救助種類に福祉を加え、法的裏づけのある制度にすべきとの声が災害対策や福祉の専門家からあがっている。

[矢野 武 2017年1月19日]

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