自衛隊法で定められた自衛隊の任務。地震、津波や豪雨などの災害、鉄道、航空機の大規模事故に、原則として都道府県知事からの要請に基づき派遣される。人命や財産を保護する必要があり、公共性、緊急性、自衛隊にしかできない活動である非代替性の3要件を満たす必要がある。新型コロナウイルスへの対応では、集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」での医療支援や、自治体職員らへの感染予防策の指導、離島からの患者搬送などが災害派遣として実施されている。
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天災地変その他の災害が発生し、人命や財産に被害がおよんでいるとき、あるいは損害を被ろうとしているとき、防衛大臣またはその指定する者の判断により、自衛隊の部隊などを救護救援のために派遣すること。自衛隊法(昭和29年法律第165号)第83条に基づく。災害派遣は以下の三つのケースに大別される。(1)災害が発生し、知事などからの要請を受けた場合の災害派遣、(2)緊急を要し、知事などからの要請を待たずに部隊などを派遣する自主派遣、(3)人命や財産に被害が発生しようとしているとき、知事などからの要請を受けた予防派遣。さらに、これらの派遣の判断には、(1)公共の秩序を維持するため、人命や財産の社会的な保護の必要性(公共性)、(2)災害の状況に応じた緊急性、(3)自衛隊の対処が必要な非代替性、以上3要件を満たしているかどうかが検討される。また、通常の災害派遣のほか、防衛省施設付近の火災などに対応する近傍派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣とよばれるものがある。自衛隊の派遣を要請できる者は、都道府県知事、海上保安庁長官、管区海上保安本部長、空港事務所長であり、市町村の場合は、特別な理由がなければ都道府県知事へ派遣を要請する。
災害派遣は、人命や財産を保護する応急の救援活動と、その後の応急復旧までの範囲で行われるのが一般的である。撤収は要請権者と調整し、予定した作業の完了、民心の安定、復興機運の確立などを確認したうえで実施される。派遣部隊の活動によって生じる費用は、その内容に応じて都道府県と自衛隊が負担している。
2011年(平成23)3月11日に発生した東日本大震災では、原子力災害派遣が終結した2011年12月26日までの間、延べ1066万人の隊員が派遣された。また、東日本大震災の教訓から、警察庁は大規模災害発生時に被災地などで避難や救出活動、検視、治安維持などに広く活動する警察災害派遣隊を2012年5月に設置した。
[編集部]
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