FAD(読み)エフエーディー

デジタル大辞泉 「FAD」の意味・読み・例文・類語

エフ‐エー‐ディー【FAD】[fish aggregating devices]

fish aggregating devices》ある種の魚が海面に浮かぶ流木や浮遊物体の下に集まる性質を利用した装置。それ自体に網が仕掛けられるほか、発信機を取り付けて、巻き網船で集まった魚を捕獲する漁法が行われている。人工集魚装置人工浮漁礁。FADs。

エフ‐エー‐ディー【FAD】[familial Alzheimer's disease]

familial Alzheimer's disease》⇒家族性アルツハイマー病

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「FAD」の意味・わかりやすい解説

FAD
えふえーでぃー

リボフラビンビタミンB2)の補酵素の一つ。フラビンアデニンジヌクレオチドflavin adenine dinucleotideの略で、NADニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)とともに燃料分子の酸化還元反応での主要な電子伝達体でもある。分子式C27H33N9O15P2、分子量785.56。1938年ドイツの生化学者O・H・ワールブルクらによって、D-アミノ酸の酸化を触媒するフラビン酵素補助因子として発見された。FADはFMNフラビンモノヌクレオチド)部分とアデノシン5'-リン酸adenosine 5'-monophosphate(AMP)部分からなる。この担体(輸送体)の酸化型および還元型の略称は、それぞれFADとFADH2である。FADの反応部分はイソアロキサジン環にある。NAD+と同じく、FADは電子2個を受け取る。その際、FADはNAD+と異なり、プロトン1個と水素化物イオン1個とを取り込む。リボフラビン(ビタミンB2)がATPアデノシン三リン酸)によってリン酸化され、FMNとなり、次にAMP部分が第二のATP分子からリボフラビン5'-リン酸に転移してFADが形成される。FADはFMNとともにフラビン酵素群の補酵素である。フラビン酵素群は広く自然界に分布し、その補酵素であるFMNおよびFAD分子中のリボフラビンのイソアロキサジン環が水素受容体として、生体の酸化還元系における水素および電子伝達の役割を果たす。代表的なものには、グルコースオキシダーゼ、D-アミノ酸オキシダーゼ、コハク酸デヒドロゲナーゼモノアミンオキシダーゼ、サルコシンデヒドロゲナーゼなどがある。フラビン酵素群の特徴はその基質の多様性にある。アミノ酸、カルボン酸、NADH、チオール基などは水素供与体となりうる。ピリジンヌクレオチド、シトクロム、ユビキノン、酸素などは電子または水素受容体となりうる。

[有馬暉勝・有馬太郎・竹内多美代]

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改訂新版 世界大百科事典 「FAD」の意味・わかりやすい解説

FAD (エフエーディー)

フラビンアデニンジヌクレオチドflavin adenine dinucleotideの略称。ビタミンB2(リボフラビン)にオルトリン酸が2分子とアデノシン1分子が結合した化合物で,多くの酸化還元酵素の補酵素として重要。微生物から高等動物にわたってひろく分布している。260nm,375nm,450nmに吸収極大をもち,肉眼的には黄色を呈している。生体内ではFMN(フラビンモノヌクレオチド)とATP(アデノシン三リン酸)からFADピロホスホリラーゼ(FMNアデニリルトランスフェラーゼ)によって合成される。生体内においては,ピリジンヌクレオチドと並んで,多くの電子伝達系酵素反応に重要な役割を演じているが,中でもD-アミノ酸酸化酵素,グルコースオキシダーゼ,各種酸素添加酵素の反応がよく知られている。もともと,ワールブルクO.Warburgらが酵母から分離した黄色酵素(1932)の補酵素としてFMNを発見したのにひき続き,1938年にD-アミノ酸酸化酵素の補酵素としてFADが発見された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「FAD」の意味・わかりやすい解説

FAD
エフエーディー
flavine adenine dinucleotide

フラビン・アデニン・ジヌクレオチドの略称。ビタミン B2 (リボフラビン) の補酵素型の一つ。フラビンとアデニンとを塩基とするヌクレオチドである。初めはD-アミノ酸酸化酵素の補酵素として分離されたが,ジアフォラーゼなどの補酵素ともなり,生体の酸化還元系に重要な役割を果していることがわかった。臨床的にはリボフラビン欠乏症の患者に対して活性型の FADを投与することが多い。

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化学辞典 第2版 「FAD」の解説

FAD
エフエーディー

flavin adenine dinucleotideの略称.[同義異語]フラビンアデニンジヌクレオチド

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百科事典マイペディア 「FAD」の意味・わかりやすい解説

FAD【エフエーディー】

フラビン補酵素

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栄養・生化学辞典 「FAD」の解説

FAD

 →フラビンアデニンジヌクレオチド

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世界大百科事典(旧版)内のFADの言及

【クエン酸回路】より

…スクシニルCoAはオルトリン酸とGDPの関与のもとに,スクシニルCoAシンテターゼの作用でそのチオエステル結合の切断が起こり,コハク酸,GTP,CoAが生成するが,このスクシニルCoAの加水分解の自由エネルギー⊿G゜′はATPとほぼ同程度で,-8kcal/molにおよぶ。コハク酸は次に,FADを補酵素とするコハク酸デヒドロゲナーゼの作用でフマル酸に変わり,フマル酸はフマラーゼの作用でリンゴ酸に変わる。リンゴ酸はNADを補酵素とするリンゴ酸デヒドロゲナーゼの作用で再びオキサロ酢酸を生成することとなる。…

【補酵素】より

NAD,NADPの還元型すなわちNADH,NADPHは340nmに特異的な吸収極大を示すので,これを指標とする酵素活性の測定が広く利用されている。(2)フラビンの誘導体 FMN(フラビンモノヌクレオチド),FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)もD‐アミノ酸酸化酵素など各種の酸化還元酵素の補酵素としてよく知られているが,黄色いビタミンとして知られるビタミンB2,すなわちリボフラビンの誘導体に相当する。欠乏症としては口角炎,舌炎など,皮膚障害をひき起こす例が少なくない。…

【リン(燐)】より

ATPを代表例とする高エネルギーリン酸結合(〈高エネルギー結合〉の項参照)は,エネルギー代謝における最も重要な概念である。またFMN(フラビンモノヌクレオチド),FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)をはじめ,リン酸を含む補酵素も多数知られている。動物の骨格中には,リン酸カルシウム塩として多量に存在する。…

※「FAD」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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