日本大百科全書(ニッポニカ) 「リボフラビン」の意味・わかりやすい解説
リボフラビン
りぼふらびん
riboflavin
ビタミンB複合体に含まれる耐熱性の成長促進因子で、ビタミンB2の別名。ビタミンGともよばれた。黄褐色の結晶で、水にわずかに溶け、光により分解する。牛乳、肝臓、卵黄のほか、酵母や米糠(こめぬか)に多く含まれる。牛乳中の蛍光物質として19世紀末にすでに知られていた。1933年、ドイツの生化学者R・クーンが結晶分離してフラビンと命名し、同じころO・H・ワールブルクは酵母の黄色呼吸酵素の配合団として同一物質を取り出した。生化学的には2種のフラビン補酵素、すなわちフラビンモノヌクレオチド(FMN)とフラビンアデニンヌクレオチド(FAD)の構成成分として重要である。いずれもフラビン酵素の補酵素として多くの酸化還元反応系に関与する。還元状態では無色、酸化されると黄色となる。細菌、カビ、植物はリボフラビンを合成できるが、動物はできず、したがってビタミンとして摂取する必要があり、ヒトでは1日1.5~2.5ミリグラムとされる。欠乏症は皮膚炎、発育不良、口角炎、舌や目などの異常であり、ネズミでの実験的欠乏症では成長の停止、視力や神経系の障害、生殖能力の喪失がみられる。工業的には微生物の培地から精製され、また化学合成によっても得られる。ラクトフラビン、オボフラビン、ヘパトフラビンなどとよばれたものは、すべてリボフラビンと同一物質である。
[入江伸吉]