知恵蔵 「HRTech」の解説
HR Tech
米国でHR Techサービスを展開する企業の一つ、13年創業のZenefits(ゼネフィッツ)社では、給与計算や健康保険を管理するといった人事業務を効率化するサービスを企業へ無料で提供し、同時に社員に健康保険を販売し、保険会社から販売手数料を得ている。
また、同じく13年創業のBlueBoard(ブルーボード)社は、社員に、「コンサートに行ける」「ヨガ教室に行ける」などの体験(アクティビティ)を、ギフトとして社員に贈るという、HR Techの福利厚生サービスを提案しており、これらのギフトによって社員の愛社精神が上がり、離職率が下がるなどといった成果を生み出している。ちなみに、BlueBoard社は、17年10月にラスベガスで開催された世界最大級のHR Techイベント「HR Technology Conference & Expo」において、「次世代のHR Tech企業の発見」と題したビジネスコンペティションで優勝している。
市場調査機関のミック経済研究所によると、日本国内のHR Tech市場において、特にクラウドをベースにした「HR Techクラウド」の市場が、16年に109.7億円、17年に156.6億円規模と飛躍しており、更に、22年には663億円と、16年の6倍の成長率が予測されている。また、同研究所が発表した、「HR Techクラウド市場の実態と展望2017年度版」の「人事・配置クラウド」分野において、東京にあるカオナビ社が17年度のシェア第1位となった。カオナビ社は、社員の「顔と名前が一致しない」を解決するHR Techの人材管理ツール「カオナビ」を提供しており、カオナビを利用すれば、顔写真が並ぶシンプルな画面を用いて、人材データベースの作成、人事評価、社内アンケートの実施等が可能だ。
18年8月、学生の就職活動をサポートするサイト「リクナビ」などを運営するリクルートキャリア社が、企業の採用選考プロセスをクラウド上で一元管理できる「リクナビHR Tech採用管理」や、社員の勤怠、休暇等をクラウド上で管理できる「リクナビHR Tech勤怠管理」のサービスを開始するなど、HR Techサービスの市場が広がりを見せている。
(横田一輝 ICTディレクター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報