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ISD条項 あいえすでぃーじょうこう

知恵蔵miniの解説

ISD条項

多国間における企業(投資家)と政府との、賠償を求める紛争の方法を定めた条項のこと。Investor State Dispute Settlementの略語で、ISDSとも言う。日本語では「投資家対国家間の紛争解決条項」などと訳される。主に、自由貿易協定(FTA)を結んだ国同士において、投資相手国の規制などにより企業や投資家が損害を被った時に賠償を求める場合の手続き方法として用いられるが、その他様々なケースで同条項を元にした仲裁がなされている。1996年、カナダ政府が米国企業に和解金を支払ったEthyl事件などで注目されるようになった。90年代後半からISD条項による仲裁の利用が急激に増加している。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)締結において問題視される要因の一つとして取り上げられることも多い。

(2014-1-17)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ISD条項

ある国の規制によって外国の企業や投資家が損した場合、国際機関に仲裁を申し立て、相手国に賠償を求めることができる取り決め。米国が他国と結ぶ自由貿易協定(FTA)では、この条項を使って米企業が相手国に巨額の賠償を求める事例が多発。オーストラリアはこれを警戒し、2004年に結んだ米国とのFTAに盛り込むことを拒んだ。

(2012-12-13 朝日新聞 朝刊 1経済)

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デジタル大辞泉の解説

アイエスディー‐じょうこう〔‐デウカウ〕【ISD条項】

Investor State Dispute Settlement》⇒ISDS条項

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ISD条項
あいえすでぃーじょうこう

外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という条項。ISDはInvestor-State Dispute Settlement(投資家対国家間の紛争)の略。ISDS条項ともいわれる。国家間で投資協定などを結ぶ際、ISD条項を含んだ形にすることが主流になっている。日本も例外ではなく、1978年(昭和53)の日本エジプト投資協定以降、ほぼすべての投資協定にISD条項を入れ、進出国における日系企業の保護を図っている。なお、政府に瑕疵(かし)があったかどうかの判断は、世界銀行の投資紛争解決国際センター(ICSID:International Centre for Settlement of Investment Disputes)や国連国際商取引法委員会(UNICITRAL:United Nations Commission on International Trade Law)の定めたルールにしたがって行われる。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、投資家と国家間の投資仲裁は、1987年から2010年末までで累計390件である。
 2012年12月、アメリカの投資ファンドであるローンスターLone Starが、出資先である外換銀行を売却する際、韓国行政府の妨害により売却時期が遅れて損失を被ったとして韓国政府を提訴した。これは、2012年3月に発効した米韓FTA(自由貿易協定)にISD条項が盛り込まれていたことによる。過去にISD条項が活用された例では、開発途上国政府が訴えられるケースがほとんどで、韓国のようなOECD加盟国が訴えられたのは珍しい。[編集部]

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