政府、企業、団体、個人などが一定の目標達成に向かってそのプロセスが順調に進んでいるかどうかを点検するための、もっとも重要な指標。経営学から発生した概念で、英語のKey Performance Indicatorの略語である。日本では「重要業績評価指標」「重要達成度指標」「重要成果指標」などと訳されることが多い。KGI(重要目標達成指標)として、たとえば、売上高、入学希望者数、納税率などを設定することが多いのに対し、KPIとしては顧客からの引き合い件数、学校訪問回数、滞納者数などを指標に設け、日次、週次、月次など一定期間ごとに数値をチェックして進捗(しんちょく)状況を管理する。また、KGIが1年や5年といった長期間を対象とするのに対し、KPIは短期間で結果のわかる数値を指標にするという違いがある。
経営学では、最終目標を実現するための手段としてCSF(主要成功要因)を策定し、その手段が正しく成果に向かって機能しているかどうかをKPIで定期的に測定する。KPIは定量的に表すことができるが、指標として振れが少ない数値を選ぶ必要がある。民間企業では、マーケティングのKPIとして新規顧客獲得数、顧客の回転率、リピート率、決済遅滞・未払い件数、解約件数などを採用する例が多い。日本では2000年代以降、大企業を中心に企業活動を(1)財務、(2)顧客、(3)業務プロセス、(4)人材の学習と成長、の4点から評価するBSC(バランス・スコアカード)という経営手法がとられるようになった。BSCでは、KPIのほかKGIやCSFを設定し、繰り返し点検する手法がとられる。とくにインターネット関連業界では、サイトへの訪問回数などのKPIをマーケティング手法として活用するのが一般的である。また安倍晋三(あべしんぞう)政権は成長戦略を推進するため、2013年(平成25)に策定した日本再興戦略で初めて政策目標としてKPIを採用し、以後、地方自治体などさまざまな政策分野でKPIが活用されるようになった。
[矢野 武 2016年4月18日]
出典 (株)トライベック・ブランド戦略研究所ブランド用語集について 情報
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