日本大百科全書(ニッポニカ) 「CSF」の意味・わかりやすい解説
CSF
しーえすえふ
政府、企業、団体、個人などが目標を実現する際に決定的に重要となる要因、または目標達成のためにもっとも力を入れて取り組むべき手段や課題。英語のCritical Success Factorsの略語で、日本では「主要成功要因」「重要成功要因」などと訳される。CSFは、目標達成に向けて、組織や個人の限られた資源をもっとも効率よく活用するために設定するものである。ビジネスではCSFとして、インターネットによる受注、付加価値の高い類似事業の買収、新製品の投入などが選択される。
CSFという概念は、コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーMcKinsey & Companyの役員を長く務めたロン・ダニエルD. Ronald Danielによって1961年に提唱され、MITスローン・ビジネス・スクール教授のジョン・ロッカートJohn F. Rockart(1931―2014)によって経営学の重要な概念として確立された。経営学では、最終的な目標としてのKGI(重要目標達成指標)を決め、その目標を実現する手段として、政策やビジネスの成否を左右する多くの手段のなかからもっとも重要なものをCSFとして選択し、これに優先的・集中的に資源が投入される。その後、正しく目標に向かってCSFが機能しているかどうかを、定期的にKPI(重要業績評価指標)で点検する手法をとる。たとえばKGIとして「5年後に大学入学者の30%増」という目標を設定して、CSFとして「大学の都心部への移転」を選択し、KPIとして「月次の大学訪問者数」をチェックするという手法がとられる。
[矢野 武 2016年4月18日]