LST(読み)エルエスティー

デジタル大辞泉 「LST」の意味・読み・例文・類語

エル‐エス‐ティー【LST】[landing ship tank]

landing ship tank米軍戦車揚陸艦。海岸に乗り上げて艦首を開き、兵士武器・戦車などを揚陸させる。

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精選版 日本国語大辞典 「LST」の意味・読み・例文・類語

エル‐エス‐ティー【LST】

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] landing ship tank の略 ) アメリカ軍の戦車揚陸艦。戦車などの自走兵器や兵員を揚陸するもの。海岸に乗り上げて艦首を観音開きにする。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「LST」の意味・わかりやすい解説

LST
えるえすてぃー

戦車揚陸艦landing ship tankの呼称揚陸艦艇の一種で、戦車のほか、各種車両人員物資を搭載して遠距離輸送し、自ら海岸に接岸してこれらを直接揚陸させる。箱型に近い船型で、船体内部に車両搭載甲板が設けられ、上甲板にも車両が搭載できる。車両甲板の前端部に下端ヒンジ(丁番(ちょうつがい))とした道板(ランプ)を設け、その前方に観音開きの門扉をもつ防波構造の艦首部を有し、海岸に接岸後門扉を開き、道板を前方に倒して、車両など搭載物を揚陸する。第二次世界大戦中の1941年にイギリス軍の発想により生まれ、これをアメリカ軍が満載排水量約4000トン、速力11ノットの艦として設計、1942~1945年に1000隻余が大量建造され、大戦中各方面の上陸作戦に使用された。戦後さらに改良され、最終的には満載排水量約7000トン、速力16.5ノットの艦が出現した。LSTのこの型式の艦は第二次世界大戦後広く各国で使用され、アメリカ以外の多く海軍で有用な揚陸艦として現在も運用されている。アメリカ軍はLSTの高速化を図り、1960年代の後半から、従来型式の艦とは異なる上甲板から道板を出して車両などを揚陸させる方式を採用し、艦首部を細くした船型として速力20ノットを出すニュー・ポート級New Port Class(満載排水量8450トン)を建造したが、従来艦に比べ使いにくく、他国の海軍はこの型式の艦を建造することはなかった。冷戦終結後の軍備縮小により、老朽化しつつあるニュー・ポート級は1990年代初期から逐次退役し、その役割を新造のドック型揚陸輸送艦(LPD)に譲り、除籍艦の多くは外国に売却されている。

[阿部安雄]

『石橋孝夫著『艦艇学入門――軍艦のルーツ徹底研究』(2000・光人社)』『J.P.LaddAssault from The Sea 1939-45 ; The Craft, The Landing, The Men(1976, David & Charles)』『Allied Landing Craft of World War Two(1985, Arms & Armour Press)』『Gordon L. RottmanLanding Ship, Tank (LST) 1942-2002(2005, Osprey Publishing Ltd.)』『Stephen SaundersJane's Fighting Ships 2010-2011(2010, Jane's Information Group)』

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百科事典マイペディア 「LST」の意味・わかりやすい解説

LST【エルエスティー】

landing ship tankの略。排水量1000トン以上で,海岸に擱座(かくざ)し,艦首の扉を開き戦車,兵員などを揚陸する大型揚陸艦艇。第2次大戦中の1942年から米海軍が大量建造,北アフリカ,ノルマンディー,太平洋などの上陸戦に使用した。航洋性良好で一般貨物船としても使用できる。
→関連項目上陸用舟艇

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「LST」の意味・わかりやすい解説

LST
エルエスティー
landing ship tank

アメリカが第2次世界大戦中に開発した戦車揚陸艦。排水量約 3000t。第2次世界大戦で多数使用され,大戦後も多くの国が保有した。アメリカ海軍のニューポート級 LSTは満載排水量 8450t,兵員 400人,車両 500tを搭載できる。

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世界大百科事典(旧版)内のLSTの言及

【揚陸艦艇】より

…(a)バウランプをもつものと,高速を出すのに普通の船型を採用したためビーチングできないものがある。LST(tank landing ship,戦車揚陸艦)がある。(b)搭載する揚陸艇をクレーン等で着水させるもの。…

※「LST」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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