O2O(読み)オーツーオー(英語表記)O2O

翻訳|O2O

デジタル大辞泉 「O2O」の意味・読み・例文・類語

オー‐ツー‐オー【OtoO】[on-line to off-line]

on-line to off-line》ネット上(オンライン)での情報が実店舗オフライン)の購買行動などに影響を及ぼすこと。また、この影響を積極的に活用した電子商取引上のマーケティング手法。O2O。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「O2O」の意味・わかりやすい解説

O2O
おーつーおー

インターネット(オンラインonline)上で得た情報を基に、実際の店舗(オフラインoffline)に出かけてモノやサービスを購入する行動をさすマーケティング用語。インターネット上の口コミ情報を基に実店舗に出かける、商業施設が近隣の消費者向けに限定クーポン券をネットで配信して来店を促す、ネット通販のポイントを実店舗でも使えるようにする、といった手法がある。企業間商取引(Business to Business)を「B2B」、企業・消費者間商取引(Business to Customer)を「B2C」と略すように、オンライン(ネット上)とオフライン(実店舗)の消費行動連携(Online to Offline)を、2010年ころから「O2O」と略して使うようになった。「O to O」とも表記し、また「On 2 Off(オンツーオフ)」ともいう。なお、ネット上での消費行動が実際の店舗に影響を及ぼす現象もO2Oとよぶことがある。

 O2Oは実際の店舗への集客を促す効果だけでなく、顧客データを電子化して蓄積・分析することで、販売促進効果や消費者行動を正確に測定できる利点がある。いつでも、どこでもインターネットが利用できるスマートフォンなどの普及がO2Oの増加牽引(けんいん)しており、野村総合研究所では、2011年度(平成23)に約24兆円だった日本のO2O関連市場が2017年度には50兆円規模に伸びると推定している。O2Oとは反対に、実際の店舗でモノやサービスの品定めだけをして、購入はより安いネット通販などで済ます消費行動を「ショールーミング」とよぶ。ただし、最近の消費者は、ネットから実店舗へ、実店舗からネットへといった消費行動を取り混ぜながら使い分けており、もはやオンラインからオフラインへ、オフラインからオンラインへといった区別そのものには意味がなくなりつつあると指摘する経済学者もいる。

[編集部]

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知恵蔵 「O2O」の解説

O2O

Online to Offlineの略。インターネット上のウェブコンテンツやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)におけるサービス(Online)を、実在する店舗(Offline)での集客アップや購買促進につなげる仕組みのこと。
ネット上の価格比較サイトで商品の最安値を調べたり、オンラインショップに掲載されている購入者の口コミを参考にしたりして、実店舗での購入を検討するといったケースが、O2Oの身近な事例だが、このケースはEC(電子商取引)が普及し始めた2000年頃から用いられているもので、ネット上の店舗と実店舗を組み合わせたビジネス手法「クリック&モルタル」と同様である。
しかし、近年のSNSサービスやスマートフォンの普及に伴い、「クリック&モルタル」の範囲にとどまらない、ネットやアプリを使った大掛かりなサービスが、O2Oとして注目されている。
例えば、東京のサンシャイン水族館では、13年2月7日から4月7日までの期間限定で、「Ikesu」と呼ばれるスマートフォンアプリを使ったO2Oサービスを始めた。このアプリを使うと、水族館の案内板に取り付けられている無線近距離通信規格のNFCタグにスマートフォンをかざす、あるいは2次元コードであるQRコードを読み取ることで、水族館に展示されているマンボウや、ハリセンボンなど魚の情報を集めることができる。更に、来館客は、集めた魚の情報でオリジナルの魚類図鑑を作ったり、アプリ内にオリジナルの水槽を作ってバーチャルの魚を泳がせたり、水槽の様子をFacebookにアップして、友人とシェアしたりすることが可能となるため、同サービスによる集客の期待は大きい。
またNTTグループは、12年10月から大規模なO2Oの実証実験を始めている。その1つは、モバイル会員向けのサービスで、西日本最大級のショッピングモール「阪急西宮ガーデンズ」での取り組みだ。阪急西宮ガーデンズを訪れた会員は、スマートフォンアプリ「阪急西宮ガーデンズアプリ」を利用することでモール内の無線LANが無料で利用でき、位置計測も可能となる。会員は、アプリに表示された館内の地図で現在地を確認できるため、迷うことなく店舗にたどり着ける。また、店舗に近づくと、クーポンなどが自動的に届いたり、各店舗のスタンプカードも、アプリで管理できたりするため、店舗ごとのクーポンやカードを持つ必要もない。モール内のレストランもアプリで予約でき、順番が来ると自動的に電話がかかってくるため、店先で並ぶ必要がなく、待たずに食事ができる。
このようにO2Oは、単なるネットショップと実店舗の融合にとどまらない、新たな生活スタイルを予想させるサービスの基盤となっている。

(横田一輝  ICTディレクター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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