RNA干渉(読み)アールエヌエーカンショウ

デジタル大辞泉 「RNA干渉」の意味・読み・例文・類語

アールエヌエー‐かんしょう〔‐カンセフ〕【RNA干渉】

伝令RNAと相補的なRNAが細胞内に導入することにより、伝令RNAが遺伝情報翻訳してたんぱく質を合成する過程を阻害し、遺伝子発現抑制すること。この現象薬剤に応用するRNA干渉薬の研究が進められている。米国の生物学者A=ファイアーとC=メローが同現象を発見し、2006年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。RNAi

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

知恵蔵 「RNA干渉」の解説

RNA干渉

二本鎖RNAが、特定の遺伝子の発現を抑制する現象。1998年に発見された。標的とする遺伝子と塩基配列が同じ二本鎖RNAを細胞内に導入すると、ダイサーと呼ばれる酵素によって分解され、低分子の二本鎖RNAとなる。この小さな二本鎖RNAが、標的遺伝子から合成されたmRNA(リボソーム)に結合し、mRNAが特異的に分解されて、遺伝子の発現が抑制される。RNA干渉の技術を用いると、特定の遺伝子の機能が未知の場合に、その遺伝子の機能を調べることができる。これは遺伝子ノックアウト法(トランスジェニックマウス/ノックアウトマウス)の簡便な手法となる。遺伝病やウイルス病などの治療では、病因遺伝子の発現を抑制する遺伝子治療の手法としても用いることができる。

(川口啓明 科学ジャーナリスト / 菊地昌子 科学ジャーナリスト / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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