アメリカの総合科学誌。『ネイチャー』誌と並び世界を代表する。編集部はワシントンD.C.にある。1880年、発明王エジソンの支援で、ジャーナリストのジョン・マイケルズJohn Michaelsによってニューヨークで創刊された。しかし、購読数が伸びず、休刊を経て1883年、昆虫学者のサミュエル・スカッダーSamuel H. Scudder(1837―1911)によって生まれ変わった。1900年には、全米の科学者の非営利組織・アメリカ科学振興協会(AAAS:American Association for the Advancement of Science)が発行する定期刊行物となり、現在に至る。
「誰にでも門戸を開き、先端科学を通じた社会への貢献」をミッションとしている。アインシュタインの重力レンズ効果(1936)など『ネイチャー』誌同様に数々の教科書に残る科学研究の成果が掲載された。初期には、無線通信、ライト兄弟による飛行実験などの科学トピックスも紹介された。最近では、日本の太陽観測衛星「ひので」、金星探査機「ビーナス・エクスプレス」などによる太陽系に関する新知見、量子スピンホール効果、心疾患と2型糖尿病発症リスクが高まる遺伝子の発見などが話題を集めた。『ネイチャー』誌同様、ノーベル賞受賞者が多く投稿している。生命科学分野の掲載が60%ともっとも多い。
2013年12月時点のプリント版の発行部数は約13万部、推定読者は100万人、オンライン版の読者は月360万人に及び、総合科学雑誌最大の読者を抱えているとされている。論文の影響力を示す指標である「インパクトファクター」(アメリカのトムソン・ロイター社発表)は、31.477と総合科学誌としては『ネイチャー』誌に次ぐ地位を固めている。投稿された論文は、まず世界の一流の科学者100人以上で構成される編集委員会によって適切性が評価される。その後、論文は2名以上の外部匿名審査委員により詳細な査読に回される。こうした厳密な査読を経て掲載される率も7~10%とハードルは高い。『サイエンス』誌は、AAASの会員であれば無料。法人契約などを結ぶことでオンライン版にアクセスできる。日本語のサイトもある。
[玉村 治 2015年6月17日]
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