SINET

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

SINET

学術情報ネットワークの略で、高速通信回線を利用した学術研究用の通信ネットワークのこと。国際交流を目的に、海外の研究情報ネットワークへの接続が推進されている。外部リンクhttp://www.sinet.ad.jp/

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デジタル大辞泉の解説

サイネット【SINET】[Science Information Network]

Science Information Network国立情報学研究所が運営する学術情報ネットワーク。昭和62年(1987)、日本全国の大学や研究機関を結ぶ専用高速線による通信基盤の運用が始まり、インターネットや国際的な研究ネットワークとの相互接続を経て、日本最大の情報通信ネットワークに成長。これにより、をはじめとするスーパーコンピューターの共同利用や、国内外の加速器放射光施設との大量の高速データ通信が可能になった。また、機関リポジトリームークなどのサービスも提供している。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

SINET
サイネット
Science Information Network

大学共同利用機関法人である国立情報学研究所 NIIが構築している,大学や研究機関が学術研究をするための基盤として日本全国に張りめぐらされた超高速情報通信ネットワーク。1992年に運用を開始し,2011年から 40Gbps(ギガビット毎秒)のコア回線を基本とし日本全国 50ヵ所のデータセンターを結んだ SINET4(サイネット・フォー)の運用が開始された。SINET4は,スーパーコンピュータや超大容量情報記憶装置の共同利用,コンピュータのソフトウェアやデータなどのリソースのバックアップやリスク分散など,学術研究に必要な機能を提供している。たとえば,全国に張りめぐらされた地震観測機器ネットワークの観測データを蓄積・共同利用したり,画像など詳細な医療データを共有しながら遠隔地同士で医療行為に参加したりするなどの高度な使用法から,各大学や研究機関での質の高い情報インフラストラクチャーを構築・提供するという日常業務まで,さまざまに利用されている。近年は,大学内のコンピュータデータを外部に蓄積し利用する,いわゆる「アカデミック・クラウド」という利用法も注目されている。使用する基本回線を太平洋岸(現用系)と日本海岸(予備系)と二重化するなど,災害に対する耐久性を高めていることも SINET4の特徴である。(→学術情報ネットワーク

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

SINET
さいねっと

国立情報学研究所(NII)が、日本の大学・研究機関の学術研究・教育促進のために構築、運営している日本最大の情報通信ネットワーク。SINETはScience Information NETworkの略称である。学術情報ネットワークともいう。
 1987年(昭和62)に、大学間を接続するインターネットのバックボーンとして運用開始され、2017年(平成29)の時点で、889の大学・研究機関が参加する。2016年4月から超高速ネットワーク時代に対応したSINET5(サイネットファイブ)が運用を開始した。国内だけでなく、アメリカとも100Gbpsの高速回線で結び、ヨーロッパ、アジアとは2019年から同様の100Gbps高速回線の供用が開始される予定である。全国各地のネットワーク接続拠点(ノード)やデータセンターにアクセスし、大規模なデータの蓄積と処理、「京(けい)」をはじめとする全国にあるスーパーコンピュータの共同利用、論文など電子化された情報の共有(機関リポジトリ)、セキュリティに関するサービスの提供が受けられる。
 SINETは、当初、大学内で閉じたLANを相互に接続する専用高速幹線(インターネットバックボーン)として構築されたが、インターネットプロトコル(IP)は用いられておらず、利便性は悪かった。1998年からインターネット相互接続を開始。2002年に、SINETとは別に「スーパーSINET」(SINET2)の運用が始まった。光通信技術を用い、10Gbpsで研究機関の間を結ぶ世界有数の高速インターネット網として構築された。
 2007年には、SINETと、スーパーSINETを統合してSINET3(スリー)の運用が始まった。最大40Gbpsの通信速度を実現しただけでなく、無線LAN、携帯電話、光回線などとの接続が可能となり利便性は格段に高まった。目的などに応じて三つのネットワーク階層(レイヤLayer)から選択して利用できる。レイヤ1(L1)は専用線接続、レイヤ2(L2)は広域LAN間接続、レイヤ3(L3)はIPネットワーク。レイヤ1は高い品質が保証されている。
 2011年に運用が始まったSINET4(フォー)は、クラウド時代に対応し、ネットワーク全体の高速化を図った。アメリカの「Internet2」、ヨーロッパの「GANT(ジェアン)」など海外の大規模ネットワークと相互接続し、国際間の共同プロジェクトの基盤となってきた。
 しかし、アメリカでは2011年から2013年にかけて全米2万5000キロメートルを結んだ100Gbpsの高速通信網が構築されたほか、ヨーロッパ、カナダ、中国などでも高速化が整備されている。こうしたことを背景に日本学術会議は、日本の学術研究の発展のためにも通信速度の高速化、100Gbpsの早期実現を政府に提言していた。
 SINET5は、こうした世界情勢が追い風となり、2016年4月に運用を開始し、国内全域で100Gpsの高速ネットワークが実現した。SINETを通じて、クラウドサービス提供業者との接続も可能となり、安全で安価なクラウドサービスが構築できるようになった。「オンデマンドサービス」のほか、複数の大学を結んだ「仮想大学LANサービス」が可能となり、大学間の連携が進む基盤も整備された。
 これまでSINETを活用した研究では、国内の大型施設SPring-8(スプリングエイト)(大型放射光施設)、J-PARC(ジェーパーク)(大強度陽子加速器施設)、京コンピュータだけでなく、海外の研究拠点LHC(大型ハドロン衝突型加速器、スイス、フランス)、ALMA(アルマ望遠鏡、チリ)などと結んで、大量のデータのやりとりが行われている。2008年にノーベル物理学賞を受賞した小林誠、益川敏英(ますかわとしひで)の研究成果である「小林・益川理論」は、高エネルギー加速器研究機構(KEK(ケック))の「Belle(ベル)実験」で実証されたが、この際、行われた大容量データのやりとりにおいてSINETは大きな役割を果たした。また、東京大学地震研究所では、気象庁や防災科学技術研究所などと共同で、SINETを活用し、全国地震観測データ流通ネットワーク「JDXnet」の構築・運用を行っている。全国各地で発生した地震観測データをSINETの広域L2網を通じて、ほぼ同時にブロードキャスト(各研究拠点に一斉配信)し、最先端研究を支援している。このように天文、宇宙、核融合、高エネルギー物理学、生命科学、地震などの先端科学分野での利用が多い。
 教育分野でも盛んに利用され、希少な手術の中継、北海道から沖縄まで全国18の国立大学にまたがる連合農学研究科を結ぶ遠隔講義などが行われ、大学間の単位互換制度の実現に道を開いている。アメリカの主要大学が始めたオンラインによる教育「MOOCs(ムークス)」の配信が2013年9月に日本の大学でも始まった。今後も大学を中心に教育分野で利用拡大が予想されている。ほかに災害時に医療情報データが活用できるよう東西2か所にデータセンターを置き、バックアップ体制を構築している。[玉村 治]

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