Voice of Americaの略称。〈アメリカの声〉とも訳される。アメリカ政府が行っている世界各国向けの海外放送。第2次大戦中の敵国向け宣伝放送に始まり,戦後は東西冷戦のなかで主として共産圏諸国に向けて自由主義陣営のイデオロギー,文化,生活水準などを紹介,宣伝する任務をもった。1953年以降,USIA(United States Information Agency)によって放送が行われている。USIAのガイドラインによれば,VOAの役割は,(1)信頼できる客観的な内外ニュースを提供すること,(2)アメリカの諸制度の適切な紹介,(3)政府の諸政策の明確かつ効果的な伝達,である。日本語を含む40以上の言語で放送(短波,中波,FM)されている。他にアメリカ政府が行っているおもな国際放送として,RFE/RL(Radio Free Europe/Radio Liberty),WORLDNET Television and Film Service,RFA(Radio Free Asia)などがある。このうちRFE/RLは,東欧向けの国際放送であったRFEと旧ソ連邦内の各民族向け国際放送であったRLが1975年に合体,再発足したものであり,95年からプラハに基地を置いている。WORLDNETは国際テレビ放送,RFAはアジア向け国際放送である。なお,94年に成立したアメリカの国際放送法により,軍関係以外のアメリカ政府による国際放送はすべてBroadcasting Board of Governors(BBG)の管轄下に置かれることになった。
執筆者:泉 昌一
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アメリカ政府が運営する国際放送機関The Voice of Americaの略称。VOAは1999年に設置された放送経営委員会の管理のもと、ラジオ、テレビ、インターネットを通じ、44言語を使い、ニュースや番組を世界に向け発信している。VOAは放送を通じアメリカ社会を世界に伝えることを目的としており、番組は音楽、情報、報道、歴史、教養など多岐にわたる。2010年時点で、放送時間数は週1500時間、視聴者数は1億2300万人と推定されている。
VOAの初放送は第二次世界大戦中の1942年2月1日。ドイツ語で「ニュースにはいいニュースもあれば悪いニュースもあります。しかしわれわれはつねに真実を伝えていきます」というアナウンスで始まった。VOAの監督機関は、大戦中の戦時情報局から、戦後は1946年から国務省、さらに1953年からは国務省から分離独立したアメリカ情報庁(USIA)へと変わり、1999年のUSIA廃止に伴って放送経営委員会が設立され、VOAはその管理のもとに置かれるようになった。放送経営委員会は、大統領が指名し連邦議会上院の承認を得て任命される民間の8名の有識者と国務長官で構成されている。VOAの年間予算は2億8080万ドル、職員数1204人。本部はワシントン市にある。
[向後英紀]
『D. KruglerThe Voice of America (2000, University of Missouri Press)』▽『A. HeilVoice of America (2003, Columbia University Press)』
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