改訂新版 世界大百科事典 「日本鉱業」の意味・わかりやすい解説
日本鉱業[株] (にほんこうぎょう)
銅のシェアで日本でトップの日本の代表的な鉱業会社。非鉄金属と石油の資源開発,精製,精錬,加工を行う。
1905年,久原房之助(1869-1965)が茨城県日立の赤沢銅山を買収し,日立鉱山として個人創業したのに始まる。07年に久原鉱業所と改称,日本有数の産銅会社に成長し,12年には久原鉱業(株)となった。その後,14年までに国内の鉱山20以上を買収,15年には朝鮮の鎮南浦に,16年には大分県の佐賀関に製錬所を設置した。そのほか機械工業,海運業,ゴム農林業と事業を多角化した。大正の末ころから久原は政界に入り,代わって義兄にあたる鮎川義介が事業を引き受け,28年に社名を日本産業(株)と改称した。翌29年に日本産業の鉱業部門とその付帯事業を行う日本鉱業(株)が設立された。その後,油田開発,台湾,朝鮮で金山の経営など企業規模を拡大した。第2次大戦後は石油精製分野にも進出,51年に水島製油所が操業を開始した。また67年からザイール(現,コンゴ民主共和国)で探鉱を行い,72年にはムソシ銅山で操業を始め,1968年からアブ・ダビーで石油の開発も行っている。売上構成は石油75%,銅9%,金属加工製品5%などとなっている(1984年3月期)。資本金393億円(1984年5月),売上高1兆1372億円(1984年3月期)。1992年共同石油を合併,社名を日鉱共石,さらに93年(株)ジャパンエナジーと改称。合併に際し分離された金属部門は日鉱金属(株)(1992年設立)に引き継がれた。2002年ジャパンエナジーと日鉱金属は共同持株会社,新日鉱ホールディングスを設立。
執筆者:木村 栄宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報