外国の投資家や企業が、進出国において相手国政府の法律や行政上の不備等で損害を被った場合、協定に基づいて相手国政府に対する損害賠償を国際仲介機関に訴えることができる、という条項。ISDはInvestor-State Dispute Settlement(投資家対国家間の紛争)の略。ISDS条項ともいわれる。国家間で投資協定などを結ぶ際、ISD条項を含んだ形にすることが主流になっている。日本も例外ではなく、1978年(昭和53)の日本エジプト投資協定以降、ほぼすべての投資協定にISD条項を入れ、進出国における日系企業の保護を図っている。なお、政府に瑕疵(かし)があったかどうかの判断は、世界銀行の投資紛争解決国際センター(ICSID:International Centre for Settlement of Investment Disputes)や国連国際商取引法委員会(UNICITRAL:United Nations Commission on International Trade Law)の定めたルールにしたがって行われる。国連貿易開発会議(UNCTAD)によると、投資家と国家間の投資仲裁は、1987年から2010年末までで累計390件である。
2012年12月、アメリカの投資ファンドであるローンスターLone Starが、出資先である外換銀行を売却する際、韓国行政府の妨害により売却時期が遅れて損失を被ったとして韓国政府を提訴した。これは、2012年3月に発効した米韓FTA(自由貿易協定)にISD条項が盛り込まれていたことによる。過去にISD条項が活用された例では、開発途上国政府が訴えられるケースがほとんどで、韓国のようなOECD加盟国が訴えられたのは珍しい。
[編集部]
(2014-1-17)
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