日本大百科全書(ニッポニカ) 「NAT」の意味・わかりやすい解説
NAT(通信)
なっと
ネットワークアドレス変換の英語表記Network Address Translationの略。LAN(ラン)に接続したパーソナルコンピュータ(パソコン)や通信機器は、限定された通信網の内側だけで通用するプライベートIPアドレスが割り当てられている。また、インターネットに接続するためには固有の住所であるグローバルIPアドレスが機器ごとに必要とされる。この両IPアドレスを自動的に変換する技術がNATである。LANとインターネットを相互接続する中継機器のブロードバンドルーター(broadband router)が備える機能の一つ。グローバルIPアドレスは、以前はルーターや通信機器すべてに最初から割り当てられていたが、インターネットの普及によりIPアドレスが不足することとなり、インターネット接続時のみにグローバルIPアドレスを割り当てる技術として開発された。
現在はNATの技術の一種であるNAPT(ナプト)(Network Address Port Translation、IPマスカレードともいう)が使われることが多い。NATではプライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを1対1で変換するため、インターネットに接続する機器と同じ数のグローバルIPアドレスが必要になる。NAPTはIPアドレスの変換時に機器ごとのポート番号(補助的な識別番号)も使用して識別することで、一つのグローバルIPアドレスで複数の機器をインターネットに接続することを可能とした。
[編集部]